
交通事故の被害に遭った際に,加害者側が子どもだった場合は,法的な責任を追及するうえで何か違いはあるでしょうか。刑事責任及び民事責任を追及するうえでのポイントを,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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参考事例
Aさんは横断歩道を渡ろうとした際に,Bさん(19歳)が運転する自動車に衝突されました。事故の原因は,Bさんが横断歩道を渡るAさんの存在に気づくのが遅れ,ブレーキが間に合わなかったためでした。病院に搬送されたAさんは,全治1ヶ月の頸椎捻挫と診断されました。
(この参考事例はフィクションです)
参考事例の解説
人身事故を起こしてしまったBさんには,過失運転致傷罪が成立すると考えられます。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の第5条は,「自動車の運転上必要な注意を怠り,よって人を死傷させた者は,7年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する」と規定しています。
Bさんは前方不注視によってAさんに全治1ヶ月の傷害を負わせたため,過失運転致傷罪が成立します。
子どもが加害者だった場合の刑事責任
過失運転致傷罪を起こしてしまった場合,加害者は警察による捜査を経て,最終的には検察官による処分を受けます。被害結果が重大であるなどの理由で,処分が罰金にとどまらない場合は,刑事裁判を受けることになります。
もっとも,これは事故を起こした加害者が20歳以上の場合です。人身事故に限りませんが,刑事事件を起こした当事者が20歳未満の場合は少年法が適用され(少年法2条1項),処分を受けるまでの手続も変わってきます。参考事例のBさんは19歳なので,民法上は成年ですが(民法4条),刑事手続においては少年法が適用されます。
加害者が少年の場合も,警察による取調べはされますし,場合によっては逮捕・勾留により身体拘束を伴うこともあります。実際に過失運転致傷罪で逮捕された少年の報道例もあります。
違いとしては,成人の場合は検察官が処分を決するのに対し,少年の場合は,いったん家庭裁判所へ事件が送致されます。家庭裁判所では調査官による調査を経て,通常は裁判官による審判を受けることになります。少年審判で言い渡されるのは,刑事処分ではなく保護処分になります。保護処分の種類としては,保護観察や少年院送致といったものがあります。少年審判の流れについては,こちらの記事もご参照ください。
家庭裁判所での処分が決まる前に少年が20歳になった場合は,再び検察庁に事件が送られ,成人と同様の刑事処分を受けます。また,20歳未満であっても,特に重大な事件を起こした場合は,同じく検察官のもとに事件が送られます(少年法20条)。これらの手続は逆送と呼ばれています。
なお,加害者が14歳未満の場合は,刑事責任能力が否定されるため,刑事責任は負いません(刑法41条)。もっとも,犯罪にはならないにしても,触法少年として少年法が適用されることで(少年法3条1項2号),保護処分を受ける可能性はあります。
子どもが加害者だった場合の民事責任
民事上の損害賠償責任については,民法712条が「未成年者は,他人に損害を加えた場合において,自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは,その行為について賠償の責任を負わない」という特則を定めています。未成年者が責任を負わない場合は,民法714条1項により,監督者である保護者が責任を負う可能性があります。
参考事例のBさんは,民法上は既に成人となっているため,自身が損害賠償責任を負います。また,民法712条は未成年者であればすべて責任が否定されるわけではなく,12歳前後で責任は認められる傾向にあります。
加害者が子どもの交通被害は弁護士に相談を
参考事例のBさんの場合,人身事故を起こした損害賠償責任は自ら負うことになります。もっとも,まだ19歳のBさんが,賠償に応じられるだけの資力を有しているとは考えにくいといえます。
Bさんが運転している車に家族が任意保険をかけている場合は,保険金がおりる可能性があります。この場合は,相手方の保険会社を窓口として示談交渉が行われることになります。滞りなく示談がまとまるケースもあるでしょうが,被害者側も弁護士へ依頼をしておくことが推奨されます。なぜなら,示談の有無やその内容は,損害賠償額を確定させるだけでなく,相手方の刑事責任にも大きな影響をもたらす重要な事柄だからです。示談をするにしても,法律の専門家である弁護士のサポートを受けて,納得のいく内容を目指していくことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合事務所では,刑事事件を専門的に取り扱う弁護士事務所として,これまで多くの交通事件や少年事件を手がけてきました。子どもが加害者の交通被害に遭ってしまった場合は,弊所までご相談ください。刑事責任を問うにしても,民事上の損害賠償を求めるにしても,弁護士への早期の相談が鍵となります。弁護士による初回の相談は,電話にて無料で実施しておりますので,子どもが加害者の交通被害にお悩みの方は,まずは一度ご連絡ください。
