小中学校でいじめ被害に遭った場合の親の対応と法的責任の追及

子どもの被害

小中学校といった義務教育期間の初期にいじめ被害に遭った場合,子どもの心身に深刻な影響を与えてしまうことがあります。いじめは単なる子ども同士のトラブルではなく,場合によっては犯罪に該当する行為や,損害賠償の対象となる不法行為となる可能性があります。また,対応の如何によっては,学校側の責任が問われるケースもあります。

今回は,子どもがいじめ被害に遭ってしまった場合に,親として取るべき対応や,加害者や学校に対する責任追及の方法について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

いじめ被害に遭った場合に,まず取るべき対応

子どもがいじめの被害に遭っていることが分かった場合,まずは子どもの安全と心身のケアを最優先にすることが重要です。いじめは長期間続くことで,より精神的なダメージが深刻になることがあり,早期の対応が極めて重要になります。

保護者としては,まず子どもの話をよく聞き,どのようないじめが行われているのかを具体的に把握する必要があります。暴力,暴言,無視,SNSにおける誹謗中傷など,いじめの内容によって対応すべき方法も変わるためです。

いじめを裏付ける証拠を残すことも重要です。LINEなどのSNSのメッセージ,怪我の写真,日記,録音などは,いじめの事実を証明する重要な証拠となる場合があります。そのうえで,学校への相談や,専門家への相談を検討することが望ましいといえます。

参考事例

中学1年生のAさんは,同じクラスの複数の生徒から日常的に暴言を吐かれ,教科書を隠されるといったいじめを受けていました。さらに,SNS上でも悪口を書き込まれるようになり,学校に行くことができなくなってしまいました。Aさんの親は学校に相談しましたが,当初は「子ども同士のトラブル」として,十分な対応が取られませんでした。
その後,Aさんの親は弁護士に相談し,証拠を整理したうえで,加害生徒の保護者に対して損害賠償請求を行うとともに,学校の対応についても責任を追及することになりました。結果として,加害生徒側から謝罪と賠償が行われ,学校も再発防止策を講じることになりました。
(この参考事例はフィクションです)

加害者に対する民事責任の追及

いじめは法律上,「不法行為」と評価される場合があります。
不法行為とは,故意または過失によって他人に損害を与えた場合に,損害賠償責任を負うという民法上の制度です(民法709条)。

例えば,暴力による怪我,悪質な嫌がらせ,SNSでの誹謗中傷などにより精神的苦痛を受けた場合,被害者は慰謝料等を含む損害賠償を請求できる可能性があります。

加害者が未成年の場合には,親をはじめとする保護者の責任が問題となります。未成年者が責任能力を十分に有していない場合には,監督義務者である親が責任を負う可能性があります(民法714条)。いじめの内容によっては,加害生徒の保護者に対して損害賠償請求を行う余地もあります。

加害者に対する刑事責任の追及

いじめの内容によっては,刑事事件として扱われる可能性もあります。
刑事責任とは,犯罪を行った者に対して,国家が刑罰を科す責任のことです。

例を挙げると,殴る蹴るといった暴力を振るった場合,暴行罪刑法208条)に問われる可能性があります。怪我をした場合には,より重い傷害罪刑法204条)が成立することもあります。
暴力を振るうことを仄めかした場合は,脅迫罪刑法222条)となる可能性があります。
SNS上で事実を示して誹謗中傷を行った場合は,名誉毀損罪刑法230条)に問う余地がありますし,単なる暴言なども侮辱罪刑法231条)となる可能性があります。

もっとも,刑事責任は原則として,事件を起こした時点で加害者が14歳以上でなければ問われません(刑法41条)。
それゆえ,加害者が小学生だった場合のように,14歳未満であれば刑事処罰の対象にはなりません。ただし,警察への相談や児童相談所による指導などが行われる場合がありますし,家庭裁判所において保護処分を受ける可能性もあるため,何らのペナルティも科されないわけではありません。

学校に対する民事責任の追及

学校は児童・生徒を教育し,同時に安全に配慮する義務を負っています。このことは一般に「安全配慮義務」と呼ばれています。学校がいじめを認識していたにもかかわらず,適切な対応を取らなかった場合には,学校側の責任が問題となる可能性もあります。

例を挙げると,いじめの相談を受けていたのに放置した,十分な調査を行わなかった,再発防止策を取らなかったといった場合には,学校設置者(公立校であれば自治体)に対して,損害賠償請求が認められる可能性があります。国家賠償法などに基づく責任が問題となるケースもあります。

学校関係者の刑事責任が問題となるケース

通常,いじめ問題で学校関係者の刑事責任が問われるケースは多くありません。しかし,極めて悪質な場合には刑事責任が問題となる可能性もあります。

例えば,教師がいじめを認識していながら故意に放置し,その結果重大な被害が生じた場合などには,業務上過失致死傷罪刑法211条)の成立などが問題となる可能性があります。また,いじめを隠蔽するために証拠を改ざんした場合などには,別の犯罪が成立する可能性もあります。

もっとも,実際には刑事責任まで発展するケースは限られており,民事責任や行政上の対応が中心となることが多いといえます。

いじめ問題は弁護士に相談を

いじめは子どもの将来に大きな影響を与える重大な問題です。しかし,学校との交渉や加害者側への責任追及は,保護者だけで対応するのが難しい場合も少なくありません。そのような場合でも,弁護士が関与することで,証拠の整理や法的な責任の整理を適切に行い,より望ましい解決を目指すことができる余地があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,刑事事件における加害者側の弁護だけでなく,被害者の立場からの法的対応についてもご相談を受け付けています。お子様がいじめの被害に遭っている場合や,加害者や学校の責任について法的対応を検討している場合には,早期に弁護士へ相談することが解決の鍵となる可能性があります。

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