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不起訴記録の開示
不起訴記録は、原則として閲覧できません。
しかし、検察庁は以下の指針に基づき、一定の場合に不起訴記録の開示を認める運用をしています。
1 被害者参加対象事件の場合
(1)請求権者
- 被害者参加対象事件の被害者等
対象事件
ア、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪(殺人、傷害等)
イ、性犯罪(不同意わいせつ(旧強制わいせつ)、不同意性交等(旧強制性交等、強姦)等)
ウ、逮捕、監禁の罪
エ、略取、誘拐、人身売買の罪
オ、業務上過失致死傷、過失運転致死傷の罪
カ、イ~オの犯罪行為を含む罪
キ、ア~カの未遂罪 - 当該被害者の法定代理人
- ①又は②の者から委託を受けた弁護士
- 被害者が死亡又はその心身に重大な故障がある場合、被害者の配偶者・直系の親族・兄弟姉妹
(2)閲覧が認められる閲覧目的
- 民事訴訟等において被害回復のための損害賠償請求権その他の権利を行使する目的
- 事件の内容を知る等の目的
(3)閲覧対象となる不起訴記録
- 客観的証拠(例:実況見分調書、写真撮影報告書)
※関係者の名誉・プライバシーの保護や捜査・公判に支障が生じるのを避けるため、マスキング措置や、場合によっては閲覧が認められない場合があります。
2 被害者参加対象事件以外の事件の場合
(1)請求権者
- 被害者等
- 被害者の法定代理人
- ①又は②の者から委託を受けた弁護士
- 被害者が死亡又はその心身に重大な故障がある場合、被害者の配偶者・直系の親族・兄弟姉妹
- 被害者等以外の方で、不起訴記録の閲覧・謄写請求が相当と認められる方
具体例:過失相殺事由の有無等を把握するため、加害者側が閲覧・謄写請求をする場合
(2)閲覧が認められる閲覧目的
- 民事訴訟等において被害回復のための損害賠償請求権その他の権利を行使する目的
※被害者参加対象事件と異なり、「事件の内容を知る」目的での閲覧を認める運用はしていません。
(3)閲覧対象となる不起訴記録の要件
- 客観的証拠であって、当該証拠が代替性に乏しく、当該証拠がないと民事訴訟等での立証が困難であるという事情が認められること
- 当該証拠の代替性がないとまではいえないが、閲覧・謄写の必要性が認められ、かつ、閲覧・謄写をしても弊害が少ないこと
※関係者の名誉・プライバシーの保護や捜査・公判に支障が生じるのを避けるため、マスキング措置や、場合によっては閲覧が認められない場合があります。
不服申立て手段
1 検察審査会
検察官の不起訴処分に不服がある場合、検察審査会に審査の申立てができます。
- 申立人
・被害者、告訴・告発をした方
(被害者が死亡した場合は、その配偶者・直系の親族又は兄弟姉妹)
→審査申立人は、検察審査会に意見書・資料の提出ができます。 - 申立先
・不起訴処分をした検察官の属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会
→審査の申立てに費用はかかりません。
※検察審査会は地方裁判所内に置かれています。
2 準起訴手続(付審判請求)
公務員の職権濫用罪等の不起訴処分に不服のある告訴人・告発人は、裁判所に対し、当該事件を審判に付することを請求できます。
裁判所が事件を審判に付する決定をした時に、公訴提起があったのと同様の効果が生じます。
- 請求権者
・告訴・告発をした者 - 請求方法・期限
・不起訴処分をした検察官に対して請求書を提出
※裁判所ではない点に注意が必要です。
→検察官が再検討した上で起訴しないと判断した場合には、検察官が裁判所に対して準起訴手続の請求を行います。
・不起訴処分の通知を受けた日から7日以内 - 注意点
・請求に対する裁判所の決定があるまで請求を取り下げることができます。
※一度取り下げると、同一事件について再度請求をすることはできません。
略式罰金の場合
略式罰金に不服があっても、被害者の方に法律上不服申立ての手段はありません。処罰感情が強い場合は、処分決定前に検察官に対し、正式裁判をしてもらうよう強く要望しましょう。
検察官の処分に不服がある場合や疑問がある場合には、被害者支援に熱い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所へお気軽にご相談ください。