ストーカー行為はエスカレートする傾向にあり、殺人事件に発展する等、被害に遭ってからでは遅すぎます。
被害が深刻化する前に、早期に警察に相談や情報提供を行い、身の安全を確保する必要があります。
被害に遭われて困っている方に向けて、主な対応方法をご紹介します。警察の対応に不安な方は、弁護士がサポートいたします。
このページの目次
ストーカーとは
ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)が対象とする行為は「つきまとい等」と「位置情報無承諾取得等」及び「ストーカー行為」です。
1 「つきまとい等」とは
- 特定の者に対する恋愛感情等や、それが満たされなかったことに対する怨恨の感情等を充足する目的で、
- その特定の者又はその家族、友人等特定の密接な関係にある者に対して、
a つきまとい、待ち伏せ、見張り、うろつき、押し掛け
b 監視していると告げる行為
c 面会、交際の要求
d 乱暴な言動
e 無言電話、連続した電話、文書・FAX・電子メール送信
f 汚物等の送付
g 名誉を害する行為
h 性的羞恥心を害する行為
を行うことをいいます。
2 「位置情報無承諾取得等」とは
- 特定の者に対する恋愛感情等や、それが満たされなかったことに対する怨恨の感情等を充足する目的で、
- その特定の者又はその家族、友人等特定の密接な関係にある者に対して、
a 相手方の承諾を得ないで、GPS機器等により位置情報を取得する行為
b 相手方の承諾を得ないで、相手方の所持する物にGPS機器等を取り付ける行為
を行うことをいいます。
3 「ストーカー行為」とは
「つきまとい等(a~dの行為については、相手方の身体の安全等が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る)又は位置情報無承諾取得等」を繰り返し行うことをいいます。
対処方法
1 警察への相談
身の危険を感じたら、直ぐに警察へ相談にいきましょう。相談の際、証拠も一緒に提出すると、警察も迅速に対応する傾向にあります。
2 証拠関係
手元に置いておきたくないかと思いますが、ストーカー被害の立証のために、以下の証拠を収集・保全しておくと、今後の捜査に有用です。
主な証拠の収集・保全方法
- 具体的被害状況について、日時、場所、被害の内容、車両ナンバー等を詳細に記録したメモの作成
※相手の具体的な言葉や動作を細かく記録(メモの作成日時も記載) - 相手からの手紙やメール、留守番電話メッセージの保存
- 通話内容のメモ又は録音
- 着信記録の保存
※着信記録は電話会社に保存されないため、着信記録の写真撮影等、記録が残るように対応 - 相手が残したメモや贈り物の保存や写真撮影
- 相手から傷害を負わされた場合は、診断書及び外傷部分の写真撮影
- 相手方に物の破壊・移動された場合は、現場の写真撮影
3 身の安全の確保
身の危険を感じた場合、公的・民間のシェルターを利用して一時的に避難しましょう。転居した場合は、加害者に住民票を交付しないよう、市区町村長へ申し出ましょう。
<連絡先> 市区町村の相談窓口、婦人相談所
4 対抗手段
- 弁護士名の警告書の送付
- 警告:警察署長等の名で「ストーカー行為をやめなさい」と警告すること
- 禁止命令:警告を無視してストーカー行為をした場合、禁止命令を出すこと
- 援助:被害防止措置の教示等の援助を受けること
→例えば、ストーカー行為への対応方法の助言、行為者の氏名・連絡先の教示、関係機関の紹介、防犯機器の貸出し、自宅付近のパトロール強化、緊急時の警察への連絡方法等
5 インターネットによる誹謗中傷、個人情報の書き込みに対して
- 掲示板の管理者、サーバ管理者に削除依頼をする方法があります。
※場合によっては、裁判所へ書き込み削除の仮処分の申立てが考えられます。
- 書き込みの内容が名誉棄損等に当たる場合は、刑事告訴も考えられます。
<連絡先> 警察、弁護士等
6 DV等被害者法律相談援助制度
- 法テラスによる援助制度です。ストーカー被害を受けられた方であれば、利用することが可能です(ご資力により相談料がかかる場合がありますので、まずはご相談ください)。
- 経済状況等に応じて、民事法律扶助や日弁連委託法律援助(犯罪被害者法律援助、子どもに対する法律援助)の制度をご利用いただけます。
<連絡先>法テラス
7 ストーカー事件と法的手続のフローチャート
賠償請求
1 示談
- 加害者と被害者の方の間で示談を締結することができます。
- 示談を締結することにより、加害者から早期に金銭による賠償を受けることができますが、加害者への処分が軽くなってしまう可能性があります。
- 示談の条件として加害者に被害者の方の生活圏に立ち入らないことを誓約させるなど、日常生活を安心して送るための条件をつけることもできます。
- 示談金の相場としては、概ね10万円~100万円の幅で締結されることが多いです。
- 加害者側から示談の打診があった場合でも、直接交渉することは不安や恐怖によって難しいと思います。弁護士に依頼して窓口となってもらいましょう。
※詳しくは「話し合いで解決したい(示談・和解で解決したい)」へ
2 民事訴訟
- 加害者に対して民事訴訟により損害賠償を請求することもできます。
- 民事訴訟では、証拠の収集や訴えの提起、裁判の手続など専門的な知識が必要になるので、必ず弁護士に相談してください。
ストーカー被害に遭われている場合、早めに対応しないと加害者の行為がエスカレートしてしまう可能性があります。
ご自身の身の安全を確保し、平穏な生活を取り戻すために、弁護士は全力を尽くしますので、まずはストーカー事件にも詳しい弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談して、どのようなことができるのか弁護士とともに考えていきましょう。