セクハラ(セクシャルハラスメント)という言葉は、以前よりよく耳にする言葉です。
セクハラという言葉が聞かれるようになってから、様々な場面で○○ハラスメントという言葉もできてきました。
男女雇用機会均等法などの法律によってセクハラについて定義づけがされるなど社会的に問題意識を持って対策が講じられてきました。
しかし、現在でもセクハラという言葉が残っていることから分かるように、いまだにセクハラ被害はなくなっていません。
これは、セクハラをする側の人間の問題意識が改善していないことと、セクハラをされた側への支援政策が不十分であることの現れです。
また、単にセクハラと一括りにされている事案の中には、強制わいせつなどの重い犯罪行為に該当している場合もあります。
セクハラ被害で悩んでいる方のための制度や対応策について解説します。
このページの目次
セクハラ(セクシャルハラスメント)とは
セクハラ(セクシャルハラスメント)とは、簡単にいうと「性的な嫌がらせ」のことです。
セクハラが良く問題となる場面として職場でのセクハラが挙げられますが、男女雇用機会均等法では、職場でのセクハラについて次のように定義しています。
- 職場において従業員の意に反する性的な言動が行われること
- 性的な言動を拒否したり抵抗したりすることによって解雇や降格、減給などの不利益を受けること
- 性的な言動によって職場の環境が悪くなり、従業員の能力の発揮に重大な悪影響が生じること
セクハラと似たような言葉として、パワハラやマタハラ、ジェンダーハラスメントという言葉もありますが、ここでは、セクハラについて主に解説していきます。
- パワハラ:上司が部下に故意に苦痛を与えるなど、立場を利用した嫌がらせ
- マタハラ:妊娠中または出産後の女性に対する嫌がらせ
- ジェンダーハラスメント:「男らしい」「男のくせに」「女らしい」「女のくせに」など、固定的な性差概念(ジェンダー)にもとづいた差別や嫌がらせ
セクハラの判断基準
1 性的な言動が含まれているか
セクハラと言えるためには、性的な言動が含まれていることが必要です。
もっとも、直接的な言動だけではなく、性的な内容を暗示させるようなものであっても性的な言動に含まれます。
2 不快と感じるものか
不快と感じるかは人それぞれですが、性的な言動を受けた人が少しでも不快と感じればそれはセクハラとなりえます。
このくらいでは普通不快と感じないのではないかと思ってしまい、なかなか声を上げられない人もいると思いますが、あなたが不快だと思ったか否かが重要なのです。
※セクハラに当たるか否かに場所は関係ありません。職場だけでなく、電車内などでも性的な言動を受けた場合にはセクハラになります。
セクハラを受けた場合の対処方法
1 会社への相談
セクハラ被害を受けた場合、まずは会社へ相談することが考えられます。
現在では多くの企業でセクハラ相談窓口が設けられており、セクハラ被害に対して適切な対応をしてもらいやすくなっています。
しかし、中には理解が乏しく、被害者にも落ち度があるのではないかとか被害者が大げさにとらえすぎではないかとしてきちんと取り合ってくれなかったり、被害者の方が部署異動などをされてしまうこともあります。
2 公的な相談窓口への相談
会社では解決できない場合、労働局や労働基準監督署に相談することができます。
労働局や労働基準監督署には雇用環境均等室という専門部署があり、相談すると会社との話し合いの場を設けるなどの解決案を提案してくれます。
また、法務省が設けている人権相談窓口を利用することもできます。
セクハラは明らかな人権侵害ですので、各法務局に設置されている人権相談窓口に電話で相談をすることができます。
<問い合わせ先>お近くの労働局、労働基準監督署、法務局
3 弁護士への相談
会社や公的窓口への相談では解決できない場合、弁護士に相談することも解決への一歩となります。
弁護士に相談した場合には、以下のことができます。
a.法律相談
受けている被害がセクハラにあたるのか否かや、その解決方法はもとより、セクハラを超えて犯罪に当たらないのかなど、法律知識を基にした具体的な相談を受けることができます。
b.会社や当事者との交渉
弁護士に依頼すれば、弁護士を窓口として会社や当事者と解決に向けた交渉を行います。
会社に対して改善を求めたり、当事者に対して処分を求めることができますし、当事者に対して改善や謝罪を求めることができます。
c.損害賠償の請求
話し合いでの解決が見込めない場合、会社や当事者に対して損害賠償を請求することができます。
当事者に対しては不法行為に基づく損害賠償請求、会社に対しては使用者責任に基づく損害賠償請求をすることができます。
任意の交渉では難しいと判断した場合には、民事訴訟を提起して裁判で解決を図ることもできます。
d.警察への被害申告
セクハラの内容によっては、名誉毀損や不同意わいせつ(旧強制わいせつ)などの犯罪に当たる場合もあります。
キスを強要されたり、胸を触られたりといった場合のように明らかに不同意わいせつ罪にあたる場合もあれば、髪の毛を触られたり肩に触れられたといった場合でも状況によっては不同意わいせつ罪となる場合もあります。
また、電車内などで触れられたり卑猥な言葉を言われたりした場合には、都道府県の迷惑行為防止条例違反となります。
このように、犯罪にあたるか否か判断に迷う場合も多いですので、一度弁護士に相談してどのような犯罪にあたるのかを判断してもらいましょう。
警察にいきなり相談しにいってもなかなか取り扱ってくれませんが、弁護士と一緒に被害申告をすることで、警察も取り扱ってくれやすくなります。
また、証拠収集や告訴状の作成など、警察が捜査をしやすくするための準備についても弁護士が行ってくれるため、被害者の方だけで警察に相談するよりも早期解決につながりやすくなります。
セクハラを受けているとしても、会社での立場などが危うくなってしまうのではとなかなか相談さえもできない状況にある方も多いと思います。
弁護士には守秘義務がありますので、相談内容を外に漏らすことは絶対にありません。
一人で悩まずにまずはご相談下さい。被害者弁護に詳しい弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士があなたに寄り添って解決に導きます。