犯人にお金(損害賠償)を請求したい

損害賠償命令制度

損害賠償命令制度

被害者等の方は、刑事裁判を行った地方裁判所が有罪判決を言い渡した後、引き続きその犯罪によって生じた慰謝料を含む損害賠償についての審理を行うように申し立てることができます。

制度の概要

  • 申立手数料は、請求額にかかわらず一律2000円です。
  • 有罪判決言渡しに引き続いて、直ちに損害賠償命令についての第1回審理期日が開かれます。
    ※有罪判決以外の場合、損害賠償命令申立ては却下されます。しかし、改めて通常の民事訴訟を提起することは可能です。
  • 審理は、刑事事件を担当した裁判官が刑事裁判記録に基づいて行います。
    ※新たに民事裁判を起こす場合と比べて、被害者の方の損害事実の立証が容易になるため、基本的に賠償額の審理を中心に行うことになります。
  • 審理回数は原則として4回以内とされ、通常の民事裁判よりも時間が短く、被害者の方の精神的負担も軽減されます。
    ※4回以内に審理が終結しない複雑な事件は、通常の民事裁判に移行されます。
  • 審理の結果の「決定」は、民事裁判の確定判決と同一の効力があります。
    ※「命令書」に基づき強制執行が可能です。
  • 民事裁判に移行する際、通常の場合と異なり、新たに民事訴訟を提起する必要はありません。
    ※移行の際、原則として損害賠償命令事件の記録が送付されます。
  • 通常の民事裁判に移行させる旨の決定については、異議申立てができません。
    ※安易に通常の民事裁判に移行させないように注意しましょう。


利用要件

  1. 対象となる犯罪
    ① 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪
    ② 不同意わいせつ(旧強制わいせつ)、不同意性交等(旧強制性交等)などの罪
    ③ 逮捕及び監禁の罪
    ④ 略取、誘拐、人身売買の罪
    ⑤ ①~④の未遂罪、①~④の犯罪行為を含む他の犯罪
    ※過失運転致死傷罪といった過失犯は対象となりません。
  2. 申立人
    刑事裁判の対象となった事件の被害者本人又は被害者が死亡した場合の相続人
  3. 相手方の範囲
    対象となる刑事裁判の被告人のみ
    ※起訴されていない共犯者、被告人の使用者を相手方とすることはできません。
  4. 申立期間
    対象となる刑事事件が起訴された時から弁論終結時(判決宣告を含まない)まで
    ※申立期間を過ぎないように注意しましょう。
  5. 申立先
    対象となる刑事事件を取り扱っている地方裁判所
    ※地方裁判所に限られるため、高等裁判所で審理されている控訴審では申立てができません。
  6. 申立て費用
    請求額にかかわらず一律2000円
    ※通常の民事裁判では請求額によって訴訟費用が変動します。


被害回復給付金制度

詐欺罪、恐喝罪、出資法の高金利受領罪といった財産犯等の被害者等の方は、当該犯罪行為により犯人が被害者の方から得た財産等(犯罪被害財産)がある場合、刑事裁判で「犯罪被害財産」を犯人から剥奪(没収・追徴)し、その「犯罪被害財産」を金銭化して国が「給付資金」として保管し、そこから給付金の支給を受けられます。

利用要件

  1. 対象となる犯罪
    ・財産犯等の犯罪行為が組織的に行われた場合
    ・「犯罪被害財産」が偽名の口座に隠匿される等、いわゆるマネー・ロンダリングが行われた場合
  2. 支給の対象
    ・刑事裁判で認定された財産犯等の犯罪行為の被害者
    ・当該犯罪行為と一連の犯行として行われた財産犯等の犯罪行為(いわゆる余罪)の被害者
  3. 申請先
    ・「犯罪被害財産」を剥奪する裁判がなされた事件を取り扱った地方検察庁

被害者の方は、刑事裁判で犯人から犯罪被害財産を剥奪する判決が出た場合、犯罪被害財産支給手続きにより、被害の全部又は一部に相当する額が給付金として支給が受けられる可能性があります。

支給手続きの開始時期や支給対象となる犯罪行為の範囲等については、官報及び検察庁のホームページに掲載されますので、そちらの確認もお願いします。

民事訴訟

  • 犯罪被害に遭われた場合、加害者に対して慰謝料を含む損害賠償を請求することができます。
  • 民事訴訟を提起する場合には、請求する金額により訴え提起時にかかる手数料が変わります。
    ※申立て手数料の例
    請求額が100万円→手数料1万円
    請求額が300万円→手数料2万円
    請求額が1000万円→手数料5万円
    請求額が3000万円→手数料11万円
  • 民事訴訟を提起した場合、基本的には損害事実や損害額の証明責任が訴えた側(原告)にあります。
    ※被害者の方が加害者を訴える場合には、被害者の方が被害を受けた事実やそれによって生じた損害の額などを証拠とともに証明する必要があります。
    ※損害賠償命令制度によらずに民事訴訟を提起する場合には、加害者の刑事裁判に用いられた証拠を民事裁判にそのまま流用することができません。
  • 民事裁判中でも和解によって解決を図ることができます。

民事裁判の場合は、時間や労力などの負担が被害者の方にのしかかってきます。弁護士を代理人として選任し、手続などを代行してもらうことで負担の軽減につながります。

示談、刑事和解

詳しくは「話し合いで解決したい(示談・和解で解決したい)」へ

弁護士が代理人として申立て・申請を行うことができます。制度内容を詳しく知りたい方や制度を利用したい方は、被害者支援制度に詳しい弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談下さい。

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