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性犯罪被害者は刑事裁判の法廷でも保護されます
性犯罪の被害に遭ってしまった場合、刑事裁判の法廷で証言しなければならなくなることは、被害者の方にとって大きな負担となります。
実際に、法廷での証言を回避するために被害届を出すことを断念したり、示談に応じざるを得ないということもあります。
しかし、最近は法改正によって、性犯罪被害者が法廷で証言をする負担が緩和される傾向にあり、証言のうち主尋問にあたる部分を、事前に録画した動画で対応することができるようになりました。
対象者
令和5年に行われた刑事訴訟法の改正によって、性犯罪被害者が証言する負担が一定の条件のもとで緩和されることになりました(刑事訴訟法321条の3)。対象となるのは、以下に記す性犯罪被害者等になります。性犯罪被害に限定されるわけではありません。
・不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、不同意わいせつ等致死傷、十六歳未満の者に対する面会要求等、わいせつ・結婚目的等略取及び誘拐、わいせつ・結婚目的人身売買、被略取者引渡し等、強盗・不同意性交等及び同致死の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
・児童福祉法、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律の罪の被害者
・犯罪の性質、供述者の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、更に公判準備又は公判期日において供述するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
証拠提出方法
対象者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録した記録媒体を提出して行うことになります。
その供述がされた聴取の開始から終了に至るまでの間における供述及びその状況を記録したものに限られます。
供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、供述者の不安又は緊張を緩和することその他の供述者が十分な供述をするために必要な措置、供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、誘導をできる限り避けることその他の供述の内容に不当な影響を与えないようにするために必要な措置、が特に採られた情況の下にされたものであると認める場合であって、聴取に至るまでの情況その他の事情を考慮し相当と認めるときに、証拠とすることができます。性犯罪被害であれば無条件に認められるわけではないことには注意が必要です。
反対尋問
この場合において、裁判所は、その記録媒体を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければなりません。
つまり、反対尋問の機会が設けられる、加害者側の弁護人から反対尋問を受けることになります。反対尋問も含めた公判(刑事裁判)の流れについては、こちらもご参照ください。https://tokyo-keijibengosi.com/kouhan_flow/
しかし、法廷では被害者の名前等の個人情報は読み上げられません。
他にも、被害者を衝立で囲って加害者や傍聴人等から見られないようにされます。
もしくは、裁判所の別の部屋からリモートで参加して、やはり加害者や傍聴人等から見られないようにされます。法廷における犯罪被害者保護の具体的な内容については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/hanzaihigai_himitu/
今後の刑事手続についてご不安ならぜひご相談を
性犯罪被害に遭ってしまった場合、今後の刑事手続に対して大きな不安を感じるはずです。
加害者はきちんと逮捕・勾留されるのか、起訴されるのか、有罪になるのか、といったことについて心配になると思います。
加害者から賠償はなされるのか、お金を受け取ったら刑事罰が小さくなるのか、といったことについても考えることが多いです。
同時に、被害者自身が、捜査で取調べを受けるのか、裁判となったら法廷に立たなければならないのか、個人情報やプライバシーが漏れてしまうのではないか、などについても大きな不安を感じることが多いです。
もしくはより積極的に、刑事裁判に被害者参加を希望し、被害者の想いを法廷で主張していきたいという人もいると思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、犯罪被害者支援に精通している弁護士が多数所属しております。
性犯罪被害者の方々のご不安に対して、一つ一つ丁寧にご説明いたします。
まずは気軽にご相談してください。
被害者の方だけでなく、ご家族の方も一緒に相談にお越しいただけましたら、ご一緒に説明いたします。
【報道解説】盗撮未遂容疑の警察官を不起訴処分 女子中学生スカート内にスマホ疑い
警察官が女子中学生のスカート内にスマホを差し入れ盗撮しようとした事件について、不起訴処分となったという報道がありました。なぜ不起訴処分となったのかなどについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【報道の内容】
京都地検は、性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)と京都府迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された警察官Aについて、不起訴処分にした。理由は明らかにしていない。
Aは、京都市左京区の京阪出町柳駅で、スマートフォンを女子中学生のスカート内に差し入れ、撮影しようとしたとして、京都府警下鴨署に逮捕された。逮捕時の調べに対し容疑を認めていた。
(京都新聞令和6年2月14日インターネット記事https://news.yahoo.co.jp/articles/4bc2b7bed8a8011b6cd81fa1eb77038fb33701a5より抜粋。一部改変)
性的姿態撮影処罰法とは
性的姿態撮影処罰法とは、令和5年7月13日より施行された新しい法律です。
盗撮事件の増加に伴い、これまで各都道府県の迷惑行為防止条例によって規制されていた盗撮行為について、より罰則を強化して取り締まりを充実させるために制定されました。
これまでは、盗撮場所が分からなかった場合には条例は各都道府県によって違うため、処罰ができないことがありました。
また、各都道府県によって条例の内容が違うため、条例では処罰できなかったり、軽い刑罰しか定められていなかったりといった問題がありました。
法律になったことで、どこで行った盗撮でも罪に問うことが可能となり、刑罰も3年以下の懲役又は300万円以下の罰金というより重いものとなりました。
さらに、本件のように、未遂罪についても処罰することができるようになりました。
なぜ不起訴となったのか
今回の事件では、Aは自分の行為を認めています。
そのため、通常であれば罰金などの刑罰を受けることになると考えられます。
しかし、今回は不起訴となっています。
不起訴となる場合にもたくさんの場合がありますが、今回の事件では、①嫌疑不十分、②起訴猶予のいずれかによって不起訴となっていると考えられます。
①嫌疑不十分とは、犯罪を証明するための証拠が少なく、間違いなくAが性的姿態等撮影未遂にあたる行為を行ったという証明ができなかったという場合です。
しかし、今回の事件では、Aは自らの行為を認めていますし、逮捕されていることから盗撮しようとしたという証拠は十分にあったと考えられるため、①嫌疑不十分のために不起訴になった可能性は低いと考えられます。
起訴猶予とは
②起訴猶予とは、犯罪の証明はできるが、いろいろな事情から判断して起訴をいったん見送ったというものです。
色々な事情としては、成立する罪の軽重、事件内容の軽重、被害弁償の有無、被害者の処罰感情、被疑者の反省、社会的影響の軽重など様々な事情が考慮されます。
今回は盗撮事件ですので、被害弁償の有無や被害者の処罰感情、被疑者の反省などが考慮されたと考えられます。
つまり、おそらくAは被害者である女子中学生(未成年者なのでその両親)との間で示談を締結していると考えられ、また、警察官の職を失っていると考えられることから不起訴となったと思われます。
公務員によって被害を受けた場合
本件のように公務員から被害を受けた場合、加害者である公務員側から示談交渉を持ち掛けられることが多くあります(示談については、こちらのページもご覧くださいhttps://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/)。
なぜなら、国家公務員であれ地方公務員であれ、犯罪を起こして起訴されてしまうと、たとえ執行猶予がついたとしても失職してしまうからです。
また、警察官や消防士、教職員などについては、一般の公務員よりも懲戒処分の指針が厳しく定められており、司法判断つまり刑事処分の如何によって懲戒処分の重さが決まることになっていることが多くあります。
そのため、加害者が公務員の場合には、不起訴や略式罰金の処分を勝ち取るために示談交渉を持ち掛けてくるのです。
示談を受ける場合のメリットは、賠償を早期に受けることができ、接触しないなどの条件を付けることができることが挙げられます。
一方デメリットとしては、示談を受けることにより加害者の刑事処罰が軽くなったり、不起訴となって刑事処罰を受けることがなくなったりすることが挙げられます。
その他、事案によって示談を受けるメリットデメリットがありますので、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
不同意性交等罪での示談について
犯罪被害に遭って警察に通報し、警察が事件として扱ってくれることになりました。警察に通報したところでは犯人が誰なのか分かりませんでしたが、警察の懸命な捜査の結果犯人が分かり、犯人が検挙されました。犯人は逮捕されているようなので、犯人が直接被害者とやり取りすることはできないようですが、逮捕されて間もなく、検察庁から電話があって、犯人の弁護士にだけ被害者の連絡先を教えてよいかと質問されました。
今回は、加害者側の弁護士から連絡先を教えてほしい、などと言われたときの対応と、結果の見通しについてお話しします。
1 参考事件
愛知県名古屋市北区に住む女性Aさんは、事件当時高校生でした。
ある日、部活動が遅くなって、夜に最寄駅から自宅までの道を歩いている最中、加害者の男からいきなり襲われ、人目につかないところまで引っ張られて、殴る蹴るなどの暴行のほか、男性器を女性器に挿入されそうになる、その様子を携帯電話端末で撮影されるなどの被害に遭いました。Aさんは、加害者との面識は一切ありませんでした。
Aさんが自宅に帰宅して夕食を食べるものの、このような経緯から制服が非常に汚れていたこと、夕食時の様子がおかしかったことなどから、Aさんの母親Bさんが、Aさんに何があったのか尋ねると、Aさんは先ほどのような経緯を話しました。これは大変だと思ったAさんとBさんは、事件当時来ていた制服などを持ってすぐに最寄りの警察署に向かいました。
その後、Aさんは深夜まで及ぶ取調べを受け、身体からも犯人のDNAを採取するために検体の保存が行われました。数日後にもまた数時間にも及ぶ取調べを受けました。防犯カメラ映像や、DNA型の文政期が上手くいったことから、先ほどの加害者が逮捕されました。
逮捕後すぐに、検察官から「加害者側が被害弁償をしたいということなので、加害者の弁護士だけにBさんの電話番号を教えても良いか」と言う電話が来ました。(この参考事件はフィクションです。)
2 法律解説
本件の加害者の行為については、不同意性交等罪にあたることはほとんど争いないでしょう。
また、不同意性交等の様子を撮影しているので、性的姿態等撮影罪も成立します。今回は、加害者弁護士から接触の試みがあったときの対処を開設するのがメインなので、詳しい条文解説は省略します。不同意性交等罪の解説は、こちらの記事もご参照ください。https://keiji-bengosi.com/gokan_kyoseiwaisetsu/
本件の加害者の行為については、示談や弁償等が無ければ相当厳しい処分になるのは間違いなさそうです。加害者や、加害者の弁護士としても、何とか示談や弁償をしたいという気持ちが高まっていると思われます。
3 対処法・弁護士によるサポート
まず考えなければならないのは、そもそも加害者の弁護士に電話番号を教えるかどうかです。基本的に、弁護士には守秘義務があるため、加害者本人やその家族に被害者の電話番号を教えることはないと考えられます。守秘義務違反には弁護士業務停止を含む相当重い懲戒処分が予定されるので、弁護士から加害者に被害者のプライバシー情報が漏れることはないのですが、どうしても心配ということであれば電話番号を教えないようにするとか、代理人の弁護士を依頼してその弁護士の連絡先を伝えてもらうということが考えられます。
次に考えるべきことは、示談金額及び誓約条項です。示談金額については、法律で金額が決まっているわけではないので、弁護士や加害者によって提示額も様々となり、妥当な金額であるのかどうか判断が難しい可能性があります。弁護士に依頼することによって、より打倒で納得できる金額になるように交渉することができる可能性がありますし、依頼をしないにしても、妥当な金額かどうかの回答をすることはできます。また、その他示談条件についても、一定の場所を一切通らない、一定の場所に近付かない等の内容が考えられます。このような条件も、弁護士や加害者によって提示内容は様々ですし、加害者側も被害者側の事情をよく知っていることは考えにくいので、最初から被害者側が納得できるような条件が提示されるとは限りません。やはり、その他示談の条件についても、弁護士に相談・依頼をすることで納得できる妥当な内容に近付く可能性が高くなります。
最も重要なのが、被害者の刑事処分を望まないような内容を示談書に記載するかどうかです。
被害者の刑事処分を望まないような内容の条項を、一般的には宥恕(ゆうじょ)条項と呼んでいます。宥恕というのは、要するに加害者を「許す」という内容であると理解していただいて構いません。
この宥恕条項については、加害者の刑事処分を軽減するのに相当重要な意味合いを持っており、加害者側としてはできるだけ示談書に盛り込みたい条項になります。示談書に記入した以上、基本的には「やっぱり許したくない」といったようなことを後から言うことはできなくなりますので、このような条項を入れるのであればよく気持ちを整理してから入れる必要性があると言えます。また、宥恕条項を入れるのであれば、その他の条件について妥当かどうかを判断し、妥当な条件に近付けるために弁護士が果たす役割も無視できないと言えます。示談についてはこちらの別記事もご覧ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/
4 最後に
以上、加害者側の弁護士から接触の試みがあったときの対処法を簡単に紹介させて頂きました。
以上でご紹介させて頂いた他にも、各条項については示談・契約でしか使わないような専門的な用語が入っていたり、個別の事件事情により必要な条項が入っていたりいなかったりすることがあります。
加害者側としては、刑事処分を軽減するために被害者側に有利な条件を受け入れてくれる可能性も比較的高いのかもしれませんが、示談書全体の効力はよく検討しないといけませんし、細かい交渉を行うのは被害者側には大変かも知れません。
いずれにしても、弁護士に一度相談をしてみるのが示談交渉において正しい判断をしていくのに役に立つことでしょう。
性的な画像が拡散されてしまったら
性的な行為の相手方が性的な行為の様子を撮影して、その映像がその相手方の携帯電話端末などに残っている、という状況は想像するだけでもなかなか危険な状態であり、特別な状況でもない限りそういった撮影行為は許さないのが通常です。しかし、性的な行為の相手方を信頼している等の状況によって、自分が性的な行為をしている状況の映像を相手方に撮影させてしまい、その相手方から映像が拡散してしまうと言ったことは絶対にないことではありません。
今回は、性行為をしている姿の撮影に応じてしまい、その映像が拡散してしまったケースについて解説します。
1 参考事件
愛知県豊橋市内に住む25歳の女性Aさんは、交際している男性Bと性行為を行った際、Bから頼まれたこともあって、性行為をしている最中の様子をBが動画撮影するのを許してしまっていました。Aさんは動画が拡散するのは恥ずかしいと思っていたこともあり、Bには映像の拡散だけは絶対にしないようにお願いし、映像の拡散はしないということを信じて撮影に応じていました。撮影された映像には、Aさんの顔もはっきりと映っていました。
しかし、あるとき、AさんとBの関係が悪くなり、AさんとBは別れることとなりました。別れたときに、Bの方から付き合っているときに撮影した動画や画像をばらまく、と言うようなことは言われていませんでした。
別れてしばらくした後、AさんとBの共通の知り合いCから、Aさんの性行為の様子を撮影した動画を全く別のDから受け取ったことを知らされました。Aさんは、性行為の様子を撮影することは一応許していたものの、拡散までは許していなかったので、警察に相談することにしました。
警察署では、警察官が親身になって話を聞いてくれ、いわゆるリベンジポルノの事件として捜査してくれることになりました。
捜査の結果、BからDにAさんの性行為映像が送られたのち、DからCに送られ、なんとCも3人にその映像を送っていることが判明しました。自分の性行為映像が拡散していることを教えてくれたCさんまでもがその映像の拡散に加担していたことが分かり、Aさんは誰を信じたらよいのか分からなくなりました。
(この参考事件はフィクションです。)
2 法律解説
本件のB、Cの行為については、それぞれ私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反に該当します。
法律の内容は以下です。リベンジポルノについては、こちらの記事もご参照ください。https://chiba-keijibengosi.com/revenge_porn/
(私事性的画像記録提供等)
第三条
1 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
この法律では、撮影が無許可であることや、そもそも撮影者が自分であること等は一切規定されていませんので、少なくともBの行為もCの行為も指示性的画像記録提供等の罪に当たる可能性が高いと言えます。そのため、刑事処分もBとCそれぞれが受けることになる可能性が高いです。金銭的な損害賠償請求についても、BとCそれぞれに行うことができる可能性が高いです。
3 対処法・弁護士のサポート
本件では既に警察が捜査に動いている状態なので、警察の取調べ対応ももちろん重要ですが、最も重要なのは損害賠償や示談交渉の対応になります。本件は、Aさんの告訴が無ければ起訴が出来ない所謂「親告罪」にあたりますので、BやCからすれば少なくとも一応損害賠償や示談をすることを考える可能性が高いと言えます。
示談交渉や損害賠償請求に応じる場合は、BやCの捜査での認否や、弁解の状況について必ず確認した方が良いでしょう。認否や弁解の状況によっては、気持ちの面で示談をしたことについて後悔をする可能性も高くなりますし、不合理な否認や弁解をしている人との間で低額な示談金で示談をするのは非常に納得がいかないことと思います。
基本的に、示談や損害賠償の申し出は相手方の弁護人を通じて行われるので、上記のようなポイントを一応押さえていれば、ある程度納得のいく解決が得られる可能性が高いとも言えます。
しかしながら、相手は法律や交渉のプロであり、全く何も知識や技術の無い状態だと本当に納得のいく解決は難しいかも知れませんし、相手方の弁護士が刑事事件や被害者弁護の経験があまりない場合だと、法的に問題のある示談内容となる可能性もゼロではありません。
やはり、スムーズに、かつ納得のいく解決に近付くには、被害者弁護・刑事弁護のノウハウを持っている弁護士に相談してみるのが良いでしょう。示談交渉の流れなどは、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/
4 最後に
以上、性的な画像が拡散してしまった時の対応について簡単に紹介させて頂きました。
もちろん、特に弁護士に依頼をすることなく解決をすることができれば、弁護士費用の持ち出しを気にする必要は無いのですが、納得のいく解決が出来なくなったり、相手方から弁償の申し出がない場合に損害賠償請求を行っていくのは困難になってきます。被害者弁護・刑事弁護のノウハウを持った弁護士がいれば、納得のいく解決にぐっと近づくことでしょう。
性的な画像を拡散されてお悩みの方は、一度あいち刑事事件総合法律事務所にお電話ください。
不同意わいせつ被害に遭った時の弁護士の選び方
犯罪被害に遭ったとき、加害者側から任意の謝罪・弁償が受けられれば、犯罪の種類や被害の内容にはよりますが、それだけでも納得のいく解決に繋がるかも知れません。任意の謝罪・弁償が受けられなくても、警察・検察が動いてくれることにより、結果として謝罪・弁償、あるいは示談をすることも出来るかも知れません。しかし、加害者側から任意の謝罪・弁償が無く、自分だけで警察に行っても事件を立件してくれるか不安であったり、加害者側から示談の提案はあったがどうしたらよいか分からないこともあると思います。
そのような時に弁護士に相談・依頼することが検討されるのですが、どういった観点から弁護士を選ぶと良いのでしょうか?以下、簡単な参考事例を基にご説明いたします。
1 参考事件
愛知県内に住むAとBの夫婦には、高校3年生で18歳の娘Cがいました。
ある日、Cが両親ABの知らないところでSNSを通じて知り合った24歳の社会人Xから性的暴行を受けるという不同意わいせつの被害に遭いました。
A、B、Cで警察署に相談に行ったところ、どこの誰なのかわからないし自分で近付いて行ったのだから事件にできない、と言うような対応をされました。A、Bはこの対応について不審感を持ちましたが、どう対応すれば良いか分からずにいました。インターネットで「犯罪 被害 弁護士」と探す等していたところ、膨大な数の法律事務所のホームページが出てきました。A、Bの夫婦は今度はどうやって弁護士を選んだらよいのかわからず、まずは検索ページの一番上に出てきた法律事務所に電話をしたところ、その事務所からは「犯罪の被害者案件は扱っていない」と回答されました。A、B夫婦はますますどうしたらよいか分からなくなりました。
(この参考事件はフィクションです。)
2 法律解説
(不同意わいせつ)
刑法第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
以下略
本件に関しましては、性的行為をするつもりのない被害者Cが加害者Xの家に行ったところ、加害者Xがむりやり被害者Cを押さえつけて胸を触った事件等を想定していただければ問題ありません。不同意わいせつ罪についての解説は、こちらの記事もご参照ください。https://keiji-bengosi.com/gokan_kyoseiwaisetsu/
3 弁護士の選び方
弁護士の選び方としては、料金、取扱分野、実際に接したときの相性といったところがあるでしょう。その他の記事では書ききれないような情報をひとまず考慮せずに決めるのであれば、この3つのなるべく多くクリアしている弁護士に相談・依頼するのがよいことになります。弁護士に依頼する経路を切り口として説明していきます。
(1) 知り合いの弁護士に依頼する
この方法が、基本的には上記の3つの要素をクリアしやすいと思われます。弁護士との関係性から、無理な料金設定をされることは少ないですし、事件当時まで知り合いなので相性の問題もクリアしていると考えて良いはずです。何より、弁護士の人間性などをよく知っていることが最大の安心材料になるでしょう。
問題としては、やはり取扱分野の点になります。一定の関係性があるので依頼も受けてもらいやすく、誠実に事件処理をしてくれるのは間違いなさそうですが、普段扱っていない分野の仕事をすれば誰しも大なり小なりのミスをする危険性が高まります。
しかし、最大の問題としては、そもそも知り合いの弁護士がいないことです。知り合いの弁護士がいなければ、知り合いの弁護士に依頼することは物理的に不可能です。
なお、先述の事例も、知り合いの弁護士がいない設定にしています。
(2) 弁護士会に相談する
弁護士とつながる方法として、インターネットのほかに地域の弁護士会に相談に行く方法もあります。弁護士会に行けば、「日弁連犯罪被害者法律援助制度」など、弁護士費用の援助を受けられる制度について説明を受けられるかもしれないので、料金面もクリアできる可能性が高くなります。
しかし、上記のような弁護士費用の援助制度に対応していない弁護士もまた多いと思われますし、基本的に弁護士費用の援助制度については利用にあたって資力制限があります。
(3) インターネットでの検索
インターネットで検索して弁護士を探す場合、相談・依頼する弁護士の候補自体は大量に出てきます。ポータルサイトなども使えば、より効率的に弁護士を探すことができるでしょう。
問題としては、それでも犯罪被害者の弁護を扱っている弁護士かどうかわからない可能性がある、という点です。しかし、この点については、電話等で取り扱いを確認すればまだ間違いは防げます。
料金面については、弁護士報酬は各法律事務所が自由に設定しているので、様々な料金体系があります。各事務所の説明を聞いた上で、依頼するかどうかを決めると良いでしょう。
最大の問題は、弁護士との相性の問題です。被害者弁護においては、どうしても警察署や検察庁とのやり取りも多く、事件が解決するまでに時間がかかる上、相談しなければならない事柄も多く出てきます。時間が無くなってしまうので、あまり多くの法律事務所を回るのも考え物ですが、明らかにおかしい感じがする弁護士には依頼などをしない方が良いでしょう。
4 最後に
弁護士の選び方や、弁護士とのつながりを得るための経路は様々ありますが、主なものをこの記事でご紹介させて頂きました。
犯罪被害に遭われた際は、まずは被害者弁護を扱う弁護士への相談を検討した方が、より納得できる解決に繋がります。
犯罪被害に遭われて、加害者を告訴したい、損害賠償を請求したいとお考えの方は、あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。弊所での法律相談については、こちらの関連記事もご覧ください。https://higaisya-bengo.com/soudan/
ストーカー被害に遭ったら…
ストーカーの被害にあった場合において、被害者としてはどのような対応を必要とするのかなどについて、参考事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 参考事例
福岡県北九州市の飲食店で働いているXさんは、同僚であるAさんに交際を求められましたが、それを断り、その日からAさんと会話を避けるようになりました。
そうしたところ、Aさんが、Xさんへの思いを諦めることができず、Xさんの住所を、同僚から聞き出し、Xさんの自宅周辺をうろつくようになりました。
Xさんは、Aさんが自宅周辺をうろついているのを見かけ、不安に思い、弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
2 Aさんの刑事責任について
AさんがXさんの自宅周辺をうろつくことは、Xさんに対する恋愛感情を充足する目的で、Xさんに対し、その住居等の付近をみだりにうろついたものといえ、ストーカー規制法(正式名称:ストーカー行為等の規制等に関する法律)2条1項柱書の「つきまとい等」に該当します。
そして、この「つきまとい等」が反復して行われた場合、「ストーカー行為」(同法2条4項)に該当することになります。
ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処するとされています(同法18条)。ストーカー規制法の解説については、こちらの記事もご参照ください。https://fukuoka-keijibengosi.com/stalker/
3 Xさんのとるべき行動とは
Xさんとしては、まず警察に相談することが考えられます。
ストーカー規制法では、警察本部長等が、つきまとい等を行い、更に反復して行うおそれがある者に対し、更に反復して同様の行為を行わないよう警告することができます(同法4条1項)。
また、公安委員会が、場合によっては、公安委員会が禁止命令を出すということも考えられます(同法5条1項)。
この禁止命令に違反し、ストーカー行為をした者は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処するとされています(同法19条1項)。
Xさんにとっては、身の安全や生活の平穏が最優先事項です。
そこで、警察や公安委員会による手続によって、今後、ストーカー行為がされないようにしていく必要があります。
もっとも、単に、口頭の被害申告をするだけで警察が動いてくれる可能性は低いと思われます。
特に、自宅周辺をうろつかれるなど、ストーカー行為の内容によっては、証拠が残りにくいものがあります(たとえば、執拗に電話を掛けてくる場合には、通話記録が残るため、比較的証拠が残りやすいといえます。)。
そこで、どのような証拠を収集、保全しておく必要があるのか、弁護士のアドバイスが必要になってきます。
特に、ストーカー事案の場合、被害者自身に、身の危険が生ずる可能性もあるので、証拠収集も慎重に対応する必要性が高いといえます。
Xさんとしては、そうして収集した証拠とともに、警察に被害申告をすることが考えられます。
4 被害申告後のこと
ストーカー事案における被害者は、警察に被害申告をして終わりというわけにはいきません。
警察から事情聴取を受けることもありますし、加害者側から示談をして欲しいと連絡があることも考えられます。
しかし、ストーカー事案における被害者にとっては、加害者側とやり取りをするだけで、大変大きな精神的負担になりますし、さらなるトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
示談においても、単に示談金を受け取ることによって安心した生活を送れるとは限らず、示談の中で、接触禁止や口外禁止などを約束してもらうということも重要になってきます。
少しでも安心した生活を送れるために、どのような内容の示談をした方がいいのか、弁護士からアドバイスをもらう必要がありますし、加害者側とのやり取りを弁護士に任せることも重要といえます。示談対応については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/
5 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ストーカー被害に遭われた方への様々な支援を行っています。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
加害者から示談の申し入れがあったら
犯罪被害に遭ってしまった後、加害者本人や加害者の弁護人から示談の申し入れがあった場合、どのような対応をとるべきかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
参考事例
Aさん(女性)は、近所に住むBさん(男性)と会って話していた際に、不意にBさんから抱き着かれました。Aさんは驚きましたが、Bさんが近所に住んでいることもあり、抱き着かれたことは誰にも話しませんでした。1週間ほど経ってから、Bさんから「この間のことは申し訳なかった。大事になってしまうと困るので、示談にしてほしい」という申し入れがありました。
(この参考事例はフィクションです)
参考事例の解説
不意に抱き着いたBさんは、「暴行(刑法176条1項1号)」によって、Aさんが「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為(同項本文)」をしています。また、「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがない(同項5号)」状況でわいせつ行為に及んだともいえます。
そのため、Bさんには不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。証拠の有無にもよりますが、Aさんが出した被害届を警察が受理した場合、Bさんに対する捜査が行われます。Bさんは警察による取調べを受けるほか、場合によっては、逮捕や勾留といった身体拘束を伴うこともあります。
不同意わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の拘禁刑(刑法176条1項本文)」です。罰金刑は定められていないため、検察官が起訴した以上は、Bさんは刑事裁判にかけられます。不同意わいせつ罪の解説については、こちらの記事もご参照ください。
https://sendai-keijibengosi.com/kyouseiwaisetuzai_jyunkyouseiwaisetuzai/
示談が持つ意味
示談という言葉に法律上の正式な定義があるわけではありませんが、刑事事件に関して、被害者と加害者の間で、損害賠償などの取り決めを行うことを指します。場合によっては、被害届を出さない、あるいは既に出した被害届を取下げるといった、加害者の刑事処分に関わる事項について合意することもあります。
ひとたび有効に成立した示談は、当事者双方を法的に拘束します。例えば、示談金の支払い義務とその上限額を定めた場合、加害者は上限額までの支払い義務は負いますが、同時に、被害者からそれ以上の額を請求することはできないことになります。示談についてはこちらの記事でも解説していますので、ご参照ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/
加害者側からの示談の申し入れ
示談を締結すること自体は、弁護士が間に入らなくても可能です。そのため、参考事例のAさんのように、加害者から直接、示談の申し入れがくることもあり得ます。また、既に加害者が勾留されているような場合は、加害者についた弁護人から連絡がくることもあります。
先ほども触れたとおり、示談は加害者の刑事処分や損害賠償に関して、重大な影響をもたらすことになります。加害者側から提示された条件が納得できるものであれば、そのまま合意して示談を締結することもよいですが、条件に納得がいかない場合や、この条件で本当によいのかと不安な場合は、被害者側でも弁護士をつけた方が無難です。
弁護士がついた場合、被害者の代理人として示談交渉を行うため、加害者側と直接やりとりをしなくて済みます。特に、加害者本人が直接示談を申し入れてきた場合には、二次加害を防ぐためにも、被害者の側も弁護士をつけた方がよいといえます。
加害者からの連絡があった場合は弁護士に相談を
被害者の側でも弁護士に依頼をして示談交渉を行う場合は、被害者支援の経験が豊富な弁護士に頼むのが望ましいといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまで刑事事件を中心に取り扱ってきた経験を活かし、示談交渉のポイントを押さえつつ、被害者の方の心情や意向に配慮した対応に努めます。弁護士による初回の電話相談は無料で行っていますので、示談交渉についてお悩みの場合は、まずは弊所までお電話ください。
風俗店での仕事中に盗撮された場合の相談
風俗店に勤務している方がサービス中の様子を男性客に盗撮された場合、性的姿態等撮影罪等の犯罪が成立し、刑事告訴や損害賠償請求が可能なことがあります。
1 参考事件
Aさん(女性)は、とある風俗店に在籍しており、今日も男性客に対してサービスを行っていました。風俗店はファッションヘルスと言われるもので、お店を構えて性的なサービスを提供するものになります。具体的には、女性従業員が衣服を脱いだ状態で、プレイルームなどと言われる密室で男性客の性器を刺激する等のサービスを行っています。
男性客Bの接客を始めたのですが、男性客Bが外してプレイルーム内に置いた腕時計の形が何となくいびつであり、サービスを行うベッドの方に文字盤を向けているような状態だったため、少し不審に思いましたが何もないだろうと思ってシャワーを浴び、サービスに入りました。
Aさんが全裸でBに対してサービスをしている最中、何となくBさんが腕時計を気にしている素振りがあったこと、サービス終了時に素早く腕時計を回収する等の様子からいよいよ不信感が高まり、風俗店の男性従業員を呼んで腕時計を確認したところ、実は腕時計は腕時計型盗撮カメラでした。
店舗事務所で腕時計型盗撮カメラの内部の映像を確認したところ、Aさんが全裸で性的サービスをしている映像が記録されていて、Bの顔も鮮明に映っていました。
直ぐに警察に通報し、Bは逮捕されたようですが、後に釈放され、警察の取調べを受けるようになりました。
(この参考事件はフィクションです。)
2 法律解説
性的姿態等撮影罪
参考事件で、Bがした行為は、Aさんが全裸で性的サービスを提供する姿を撮影する行為であり、「わいせつな行為又は性交等(略)がされている間における人の姿態」を撮影しているといえるため、「性的姿態等撮影罪」に当たる可能性が高いです。
性的姿態等撮影罪とは、令和5年に施行された性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第2条に規定する罪であり、法定刑は三年以下の拘禁刑(令和7年5月までは、懲役刑)または罰金三〇〇万円以下に当たる罪になります。
もともと、盗撮行為自体は各都道府県の条例で規制されていましたが、全国的に犯罪成立要件のばらつきをなくし、厳罰化するために、性的姿態等撮影罪が新設されました。性的姿態等撮影罪については、こちらの記事もご参照ください。https://keiji-bengosi.com/tosatsu_nozoki/
【条文】性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第2条
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
本件では、風速店の男性客Bは、自分の性的な興味のために、Aさんが全裸で性的サービスをしている状況を撮影しているので、特に「正当な理由」はありません。
また、特にAさんに承諾を得るでもなく、腕時計に偽装されたカメラで撮影を行っているので、「ひそかに」撮影したという要件も問題なく満たされます。
Bの行為には、性的姿態等撮影罪が成立します。
3 弁護士による被害者支援
本件では、被害に遭った後にすぐに警察に通報し、盗撮された動画も警察が確保しているので、「被害届や告訴状を警察が受け付けてくれない」と言った問題は発生しにくいでしょう。
しかし、被害者の方が警察の取調べに行くことができないなどと言った状況になると、Aさんに刑罰を受けさせるための手続が進まなくなる可能性があります。
そういったことを防ぐために、弁護士としては、被害者の方の心情に寄り添って、事実を確認しつつ、必要であれば取調べに付き添うなどし、被害者の方がしっかりと取調べを受けることができるように全力でサポートさせて頂きます。取調べへの立ち合いについては、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/torisirabe_hitoride/
特に、刑事事件の経験が豊富で、警察や加害者の考えをよく知っている弁護士がサポートすることで、被害者の方としては特に心強くなることでしょう。
また、本件のような盗撮、性的姿態等撮影事件のような性犯罪の事件では、加害者が性犯罪での前科をつけることを嫌う傾向にあることから、加害者の弁護士から示談の申し出を受けることもありますし、被害者側から損害賠償の請求を行うことも考えられるでしょう。
加害者側から示談の申入れがある場合は、加害者と直接やりとりする必要は無いわけですが、自分で対応をするのはなかなかつらいものですし、加害者側弁護士も示談交渉には慣れていることが考えられ、自分が納得いかない示談をすることになるかも知れません。
刑事事件の加害者側弁護の経験も豊富で、被害者弁護の技術にも優れている弁護士のサポートを受ければ、納得がいかない内容で示談をすることを防ぎ、納得のいく示談金、示談条件を獲得できる可能性も上がります。
特に、参考事件のような場合だと、性的行為の状態をそのまま撮影されていること、加害者としても風俗店利用中の行為について処罰されるのを嫌うと考えられることから、交渉次第では比較的高額の示談金と、より有利な示談条件を獲得できるかもしれません。
4 最後に
盗撮の被害に遭われた方、警察、加害者側弁護士に対してどう対応したらよいか迷っている方、自分で事件の対応をするのがつらい方、示談をするなら納得いく条件で示談をしたい方は、ぜひ一度被害者弁護を扱う弁護士にご相談ください。
また、風俗店等の運営関係者の方で、店舗で盗撮事件が発生し、従業員のために弁護士を付けることを検討されている方も、是非被害者弁護を扱う弁護士にご相談ください。
一度被害者弁護を扱う弁護士に相談をすることにより、より良い解決の方向性が見える可能性が高まることでしょう。
性犯罪の被害に遭ってしまったら
性犯罪に関する処罰規定の改正動向や、弁護士による被害者支援について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
性犯罪に関する被害者保護の動向
これまで、性犯罪被害者の多くが、泣き寝入りをしてきました。被害を第三者に相談しづらい苦痛、証拠が少ないから警察に訴えてもまともに扱ってもらえないかもしれないという不安、被害を受けたことが一般の人に知られるのが怖い、といった理由からです。
しかし、被害者を保護するために、近年は性犯罪に関する規定や制度が大きく変わりました。性犯罪に遭ってしまった場合は、速やかに警察と弁護士に相談しましょう。
性犯罪が成立しやすくなりました
これまでは、強制わいせつ罪や強制性交等罪において、暴行や脅迫の有無が問題とされてきました。加害者も、相手の同意があった、同意があると思っていた、と主張し、犯罪の成立を争うことが多かったのです。
しかし、性犯罪に関する規定ついて法改正があり、状況は大きく変わりました。まず、必ずしも暴行や脅迫がなくても犯罪が成立するようになりました。
そして、被害者が同意していないと評価される範囲が広がりました。加害者が安易に、相手の同意があった、同意があると思っていた、と主張しても、以前よりも通用しなくなったのです。
不同意わいせつ罪
不同意わいせつにおいては、次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑となります。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、不同意わいせつ罪が成立します。
16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、原則として不同意わいせつ罪が成立します。不同意わいせつ罪については、こちらの記事もご参照ください。https://sapporo-keijibengosi.com/kyouseiwaisetu/
不同意性交等罪
不同意性交等罪においては、不同意わいせつ罪の各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものである性交等をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑となります。
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、不同意性交等罪となります。
16歳未満の者に対し、性交等をした者も、不同意性交等罪が成立します。
被害者のプライバシーは守られます
警察や弁護士に事件を伝えても、被害者の個人情報が勝手に公表されたりはしません。住所・電話番号・勤務先等は、加害者や一般の人が知られないように扱われます。
起訴されて刑事裁判となっても、法廷で被害者の名前は読み上げられないようにすることができます。
被害者が法廷で証言することになっても、衝立が設置されたり、他の部屋からモニターで行われたりして、加害者や傍聴人に見られることもありません。
このように、捜査・公判を問わずに、被害者のプライバシーが守られるように配慮されています。被害者のプライバシー保護については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/hanzaihigai_himitu/
刑罰や損害賠償以外にも加害者に約束させることができます
場合によっては、加害者から被害者へ、示談が申し込まれることがあります。金銭的な解決をメインとした交渉となりますが、示談が成立することで、加害者の刑事処分が軽くなる可能性もあります。
加害者との示談においては、二度と被害者に近づかないこと、電話やSNS等も含めて被害者に接触しないこと、被害者が被害に遭ったことなどを第三者に言いふらさないこと、といった約束も含めて交渉することができます。
将来的な不安を出来るだけ小さくするために、被害者の意向を確認して、弁護士を通じて交渉することになります。
刑事裁判における損害賠償の請求
状況次第では、加害者側との示談交渉の形ではなく、刑事裁判を通じて損害賠償を請求することもあります。被害者が別途、民事裁判を起こさなくてもよい損害賠償命令という制度があるため、対象となる事件の場合は、被害者の負担を軽くすることができます。
損害賠償命令では刑事裁判で提出された証拠が使うことができ、刑事裁判の裁判官がそのまま損害賠償についても判断するので、早期の解決につながることがあります。
早期に警察と弁護士へ相談を
性犯罪の被害に遭ってしまった場合、その苦痛や負担は計り知れません。警察も弁護士も、そのような苦しみを抱えている被害者の方のために、全力でサポートいたします。
性犯罪の被害に遭ってしまった場合は、速やかに警察と弁護士に相談してください。今すべきことや今後の手続の流れについて、懇切丁寧にご説明します。
性的姿態等撮影罪の被害を相談
性的姿態撮影罪被害に遭ってしまった場合、弁護士が行える被害者支援について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 参考事件
女性Aさんは、とある会社で事務員の仕事をしていましたが、ある日トイレに小型カメラが仕掛けられているのを発見してしまいました。警察に通報すると、小型カメラ内に残っている動画データから、会社の上司が容疑者として浮上してきました。事情聴取の中で警察官からお話しを聞いていくと、どうやら会社の上司はAさんに好意を抱いていて、Aさんがトイレに行くのを見計らって小型カメラの設置を行っていたようで、会社の上司の自宅に置いてあるパソコンからはAさんが用を足している動画が大量に発見されました。
(この参考事件はフィクションです。)
2 法律解説
性的姿態撮影罪
参考事件で、会社の上司がAさんにした行為は、Aさんがパンツを下ろして用を足す姿を撮影する行為であり、性的姿態等撮影罪に当たります。
性的姿態等撮影罪とは、令和5年に施行された性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第2条に規定する罪であり、法定刑は三年以下の拘禁刑(令和7年5月までは、懲役刑)または罰金三〇〇万円以下に当たる罪になります。
もともと、盗撮行為自体は各都道府県の条例で規制されていましたが、全国的に犯罪成立要件のばらつきをなくし、厳罰化するために、性的姿態等撮影罪が新設されました。性的姿態撮影罪の詳細については、こちらの記事もご参照ください。https://keiji-bengosi.com/tosatsu_nozoki/
【条文】性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第2条
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛(こう)門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
本件では、加害者である会社の上司は、自分の性的な興味のために、Aさんの臀部、肛門、性器と言った「人の性的な部位」をAさんに気付かれない様に「ひそかに」撮影しています。性的な興味というのは「正当な理由」がないと言えますので、会社の上司の行為には性的姿態等撮影罪が成立することになります。
3 弁護士による被害者支援
今回は、警察によって盗撮動画のデータが確保されていますが、被害者の方自身が取り調べに行くことができないということになると加害者の処罰が出来ないということにもなりかねません。また、動画で被害者の方の顔がハッキリ写っていないということにもなると、もしかすると事件化できないということにもなりかねません。
そういったことを防ぐために、弁護士としては、被害者の方の心情に寄り添って、事実を確認しつつ、必要であれば取調べに付き添うなどし、被害者の方がしっかりと取調べを受けることができるように全力でサポートさせて頂きます。
特に、刑事事件の経験が豊富で、警察や加害者の考えをよく知っている弁護士がサポートすることで、被害者の方としては特に心強くなることでしょう。
また、性的姿態等撮影事件のような性犯罪の事件では、加害者の弁護士から示談の申し出を受けることもあります。
自分で性被害についての示談交渉を行うこと自体が大変つらいのはもちろん、加害者側の弁護士は法律や交渉のプロですから、自分だけで対応をすると自分が納得のいかない示談内容で示談をすることにもなりかねません。
刑事事件の加害者側弁護の経験も豊富で、被害者弁護の技術にも優れている弁護士のサポート受ければ、納得いかない示談内容で示談をすることを防ぎ、納得のいく示談金、示談条件を獲得できる可能性も上がります。刑事事件において示談がどのような意味を持っているかといった点については、こちらの記事で詳細をまとめております。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/
特に、参考事件のような場合だと、一方的につけ狙われて多数回にわたってトイレ内での様子を盗撮されているわけですから、交渉次第では比較的高額の示談金と、より有利な示談条件を獲得できるかもしれません。
4 最後に
盗撮の被害に遭われた方、警察、加害者側弁護士に対してどう対応したらよいか迷っている方、自分で事件の対応をするのがつらい方、示談をするなら納得いく条件で示談をしたい方は、ぜひ一度被害者弁護を扱う弁護士にご相談ください。
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