Archive for the ‘性犯罪・性暴力’ Category

児童買春の相手方となった児童は被害者か

2025-04-23
犯罪被害

児童買春の相手方となった児童は被害者といえるのか、児童買春を行った大人側から示談の申入れがあった場合にどうしたらよいのかについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

児童買春とは

児童買春とは、基本的に、児童(18歳未満の者)に対して、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等をすることをいいます。性交等とは、性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいいます。
簡単にいうと、18歳になっていない人に対して、お金を渡す約束や実際にお金を渡してわいせつな行為をすることだといえます。
なお、16歳未満の児童に対して、お金を支払ってわいせつ行為を行った場合、児童買春ではなく「不同意わいせつ」(性交渉があれば、「不同意性交等」)という別の罪が成立することになりますので、実際には16~17歳の児童に対して行った場合のみが児童買春となります。

児童買春の相手方となった児童は被害者といえるか

児童買春は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」という法律によって禁止されています。
同法は、「児童の権利を擁護すること」を目的としており(同法1条)、日本における児童全般を保護することを目的としているといえます。
そのため、児童買春の相手方となった児童を個別に保護しているわけではないため、厳密にいうと、児童買春の相手方となった児童は法律上の「被害者」とはいえないことになります。

児童買春を行った者から示談の申入れがあった場合

児童買春を行った者から示談の申入れがあった場合には、どのように対処すべきでしょうか。
まず、法律上の被害者ではないとしても、児童の無知に乗じて買春行為を行ったといえるでしょうから、不法行為にはあたるといえます。
また、児童の保護者からすれば、親の保護下にある児童の身体を侵害したといえるでしょうから、親としてもその責任を児童買春を行った者に問うことは可能と考えるべきです。
そのため、「示談」という言い方が正しいかどうかは別として、賠償を受ける権利はあると考えることができます。
もっとも、児童買春の相手方となった児童の同意があることが前提となる犯罪ですので、賠償金はこの側面を考慮されて判断されることになります。仮に、児童の同意がなければ「不同意わいせつ罪」や「不同意性交等罪」となります。

示談する場合のメリット、デメリット

示談する場合のメリットとしては、①早期に金銭賠償を受けられること、②条件を付けることができることが挙げられます。
相手方に金銭賠償を求める場合、損害賠償請求訴訟を提起する必要がありますが、民事裁判は時間がかなりかかる上、損害の発生と損害額などの立証を訴えた側がする必要があり、労力もかなりかかります。
特に、児童買春の相手方となった児童の親が訴える場合、そもそも損害が発生しているといえるのかも問題となるため、立証活動は弁護士に依頼して行うことになり、費用もかかります。
示談であれば、そういった裁判を行う前に金銭賠償を受けることができるため、立証責任も発生せず、早期に金銭賠償を受けることができます。
また、民事裁判の判決では、「○○円を支払え」という内容のみが記載されるため、接触を禁止したり、口外を禁止したりといった条件を付けることができません。
今後、子どもに接触してほしくない場合など、安心を得るためには、条件を付けられる示談を選ぶことにメリットがあります。

示談する場合のデメリットとしては、児童買春をした大人が罪に問われなくなったり、刑罰が軽くなる可能性があることが挙げられます。
児童買春の相手方となった児童は、上述のとおり、法律上の被害者とはいえませんが、それでも実際に対象となった児童や親が許していたり、賠償を受け取っていたりすることは、有利な事情として考慮されます。
必ず不起訴になったり、刑罰が軽くなったりするということはありませんが、そういったこともありうるということは考慮に入れておくべきです。

児童買春の相手方となった児童の処分

児童買春の相手方となった児童については、罪に問われることはありませんが、補導の対象となったり、場合によっては、少年審判を受けることになる場合があります。
何件も児童買春の相手方となっていたりする場合には、虞犯少年として、少年審判を受け、少年院送致となる可能性もあります。
犯罪となっていないからといって何もしないのではなく、警察の捜査や家庭裁判所の調査を受けることになった場合には、弁護士に早期に相談するのがよいでしょう。

未成年の娘が知らない大人と性行為をしたことが発覚したら弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください

2025-04-04
いじめ

各都道府県には「青少年保護育成条例」や「青少年健全育成条例」といった名前の条例があり、真剣な交際関係にない状態で18歳未満の青少年と18歳以上の者が性的な行為をすることを禁止しています。

2023年の刑法改正で不同意性交等罪となる事件の幅が広くなりましたが、法改正前の事件が明らかになることもまだあるでしょうし、改正後でも被害者が16歳以上であれば各都道府県の青少年保護育成条例等の対象となります。

今回は、各都道府県の青少年保護育成条例等の違反になった事例を参考にして解説します。

1 参考事件

愛知県内に住むAとBの夫婦には、高校1年生で16歳の娘Cがいました。高校入学をきっかけに携帯電話を買い与えたのですが、携帯電話にアクセス制限を付けていなかったため、各種出会い系サイトやアダルトサイトにアクセスできる状態でした。ある時、高校生の娘Cが家から出かけることが多くなり、あまり勉強もしていないことが多くなりました。Cの1学期の期末テストの成績も悪かったので、AとB夫婦は、Cの夏休み中の行動には緊張感をもって注視することにしました。

Cには夏休みが半分を過ぎても勉強をしている様子は無く、携帯電話をいじっては、外に出て行くような状況でした。そこで、AとBの夫婦は、Cに対して携帯電話を見せるように言いました。Cは嫌がりましたが、AとBが「見せないなら携帯電話を解約する」と言うと、CはAとBに背を向けて何やら高速で指を動かしている様子でした。AとBは何とかCから携帯電話を取り上げ、Cの携帯電話の中身を見てみると、出会い系サイトにアクセスしている様子があり、LINEを見てみると複数の男性とのやり取りが残っていました。メッセージを始めてすぐに途切れている男性もいたようですが、メッセージが続いている男性Dとのメッセージを見てみると、性的なやり取りの内容が具体的に書いてありました。AとBがCを問い詰めると、Cはその男性Dと交際等をすることもなく複数回にわたって性行為をしていたということでした。そのため、AとBは最寄りの警察署に相談に行きました。

AとBとCは、LINEメッセージの内容を確認した警察官から、LINEメッセージ上で性行為を行った日や場所が比較的明らかな事件について被害届を出すように言われました。被害届を出してから1か月後、Dは逮捕されました。

AとBは、逮捕されたDの弁護人から、事件として立件されている性行為をDが認めた上で示談をする提案を受けましたが、示談金は10万円と納得のできない金額でした。AとBは、示談をするべきかの検討と、示談をする場合の妥当な示談金の検討のため、弁護士に相談しました。

(この参考事件はフィクションです。)

2 法律解説

【条文】愛知県青少年保護育成条例

(いん行、わいせつ行為の禁止)

第14条第1項

何人も、青少年に対して、いん行又はわいせつ行為をしてはならない。

第29条第1項 第14条第1項の規定に違反した者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する

いん行又はわいせつ行為というのは、簡単に言えば単に自分の性欲を満たす目的での性行為を言います。上記のような事件で特に脅迫や暴力、拒否する間もなく性行為を行ったような状況がない場合だと、青少年保護育成条例違反が成立することになります。いん行の対象となった18歳未満の者は、一般的には被害者として扱われます。法定刑としては、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金と比較的軽くはなっています。実際、特に前科がない者が被害者と示談等をしなかった場合、多くは略式罰金刑となります。

3 弁護士による被害者支援

本件では、通信履歴とCの証言などから性行為の事実は明らかになっていること、及び加害者のDもAとBに対して示談を申し入れていることから、「性行為そのものがあったかどうか」といった問題点が発生することはないでしょう。

しかし、弁護人を通して提案される示談の内容が被害者側にとって納得いかないものになる可能性が高く、「妥当な条件が分からない」まま示談を受け入れてしまうと、納得のいく賠償が受けられなくなる可能性が高くなってしまいます。

そのような事態を防ぐために、弁護士が被害者側からの依頼を受けた場合、まずは被害者側の方の心情に寄り添って事実を確認しつつ、妥当な条件について検討いたします。そして、実際に加害者側の弁護士と交渉をし、妥当かつ被害者の方の意向が満たされるような条件に近付くように尽力いたします。場合によっては加害者側の弁護士から有利な情報を引き出して交渉していきます。

本件のように複数の性行為が行われた可能性は高いものの捜査機関の証拠収集上の都合によって1件の事件のみが立件されているような場合、加害者に特に前科が無ければ略式罰金刑で刑事事件が終結する可能性も非常に高いです。それを良いことにしているのかは不明ですが、明らかに低額な損害賠償金で示談を請求をしてくる加害者側弁護士もおります。そうなってしまうと、被害者側の方としては非常に心情を害されるとともに、妥当な条件での示談も実現しなくなる可能性もあります。納得のいく条件で示談をする、あるいは示談をするかしないかについて適確なアドバイスを受けるために、刑事事件の加害者側弁護の経験も豊富で、被害者弁護の技術にも優れている弁護士のサポートは役に立つはずです。

4 最後に

娘様が知らない大人と性行為をすることで、青少年保護育成条例違反の被害に遭われた方、警察や加害者側弁護士に対してどう対応したらよいか迷っている方、自分で事件の対応をするのがつらい方、示談をするなら納得いく条件で示談をしたい方、そもそも示談をすることが良いのかどうか分からないという方は、ぜひ一度被害者弁護を扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にご相談ください

一度被害者弁護を扱う弁護士に相談をすることにより、納得のいく解決の方向性が見えて来るはずです。

ストーカー被害に会われている方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください

2025-03-19
ストーカー

ストーカー規制法

ストーカー犯罪については、「ストーカー行為等の規制等に関する法律」に規定されております。
この法律は、ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由及び名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的としております。

つきまとい等

「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいいます。
一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所である住居等の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
二 その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
三 面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求すること。
四 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
五 電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、文書を送付し、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールの送信等をすること。
六 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
七 その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し若しくはその知り得る状態に置くこと。

位置情報無承諾取得等

「位置情報無承諾取得等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいいます。
一 その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置(GPS等)により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること。
二 その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること。

ストーカー行為

「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等を反復してすることをいいます。
つきまとい等については、第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限ります。
何人も、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等をして、その相手方に身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせてはなりません。
ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されます。

ストーカー被害に会ったらすぐにご相談ください

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ストーカー被害に遭われた方からの相談を、随時受け付けております。
お急ぎの方につきましては、お電話を頂いてから24時間以内に、法律相談や各種弁護サービスをご提供しております。 弁護士の予定が空いていれば、電話口で事情をお伺いしてからすぐに法律相談などを受けていただくことも可能です。
ストーカー被害を早期に解決し、被害拡大を防止するには、時間との勝負です。放っておけば、証拠品が劣化・散逸し、犯罪事実の立証が困難になる危険性が高くなり、加害者を処罰することが難しくなります。
ストーカー被害に遭われたら、なるべく早く、犯罪被害者支援に詳しい弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話下さい

不同意性交等致傷、不同意わいせつ致傷での立件

2025-01-05

自分や家族が不同意性交等致傷や不同意わいせつの被害に遭ったけれども、特段ケガをした形跡は無い。しかし、事件に遭ってから生活は変わってしまい、場合によっては人生が狂ってしまったとも言えるような状況になってしまった。このように感じている被害者の方も多いのではないかと思います。

今回は、不同意性交等で精神的な症状が出た場合について解説していきます。

悩み

1 参考事件

愛知県小牧市内に住む女性のAさんは、ある日、会社の上司の男性Bから、会社内の空き部屋に呼び出され、「応じなければ会社にいられない」等とも脅されたため、断り切れずに性交をしてしまいました。
その後、Aさんは精神や身体の不調を感じ、会社を休職するような事態になりました。不審に思った会社が動いたため、上記のような性行為の事実が明らかになり、Bは無期限謹慎を受けることになりました。Aさんが警察に被害届を出すと、数日後にBは警察に逮捕されました。
(この参考事件はフィクションです。)

2 法律上の論点

上記事例については、Aが「経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること」「により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて」を認識しつつBがAと性交を行ったのはほとんど明らかであるため(刑法177条1項,同法176条1項8号)、捜査や公判でも大きな障害なくBを不同意性交等罪で処罰してくことができるでしょう。不同意性交等罪で立件するだけであれば、警察や検察が捜査や起訴をためらうようなこともないでしょう。
問題としては、上記の行為によって、精神的な症状が引き起こされ、不同意性交等致傷罪での立件が可能であるか、というところになります。不同意性交等致傷罪での立件には、不同意性交等と精神的症状の因果関係が必要になります。精神的症状については、外から確認することができないので、不同意性交等との因果関係の立証が困難になる傾向があります。

3 不同意性交等致傷での立件のメリット

まず、不同意性交等致傷での立件のメリットとしては、加害者を重い罪で罰することができる事になります。不同意性交等のみでの処罰だと、法定刑は5年以下の懲役ですが(刑法177条1項)、特に初犯であれば酌量減軽がされることもあり、実際には懲役4年程度になることもあります。示談もしないで執行猶予になることまでは考えにくいですが、被害者側の立場からしたら納得はしづらいでしょう。
ただし、不同意性交等致傷については法定刑が6年以上の懲役あるいは無期懲役となります(刑法181条2項)。無期懲役になるケースは稀でしょうが、7年から8年程度の懲役となるケースは珍しくありません。被害者側の立場からすれば、ある程度は納得もしやすいでしょう。
もう一つの大きなメリットとしては、損害賠償金や示談金が高額になる傾向にあることです。民事裁判などで認められる損害賠償金も大きくなるのはもちろん、処罰が重くなるので高額な示談提案も出やすくなります。

4 不同意性交等致傷が認められるハードル

精神的な症状で不同意性交等致傷が認められる場合、代表的なものがPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。これに関しては、事件を公訴時効にかけないためにPTSDの発症を認めた可能性もある裁判例(https://www.sankei.com/article/20220908-JNEVNBF2DRNILLIJTR3LI46ITY/)があるなど、訴訟上の都合から認められるのではないかという疑いもあるのですが、基本的には致傷結果の証明も厳格に行われるべきであるとされています。とくに、PTSDでの不同意性交等致傷については、先述の通り外見から判定することも出来ないので、立証のハードルは高くないと言えます。具体的に立証のハードルといえる主なものは以下です。

・具体的な基準があること

PTSDになった原因と思われる出来事の重大性などのほか、実際の生活や認知の状態にどのような変化があったのかが問題となります。診断基準が具体的に定められており、その診断基準に当てはまるかどうかがまず問題になります。

・審理が長期化すること

PTSDになったことや、事件との因果関係の証明のために、実際に診断や鑑定に当たった医師が法廷で証言する必要が生じることが多いです。また、事件が裁判員裁判になるほか、加害者側からの控訴がされる可能性も高くなります。

・被害者として尋問に立たなければならなくなる可能性も高くなること

具体的にどのような状況の変化が起きたのかなどについて、被害者様の調書等が不同意とされることも多いです。刑事訴訟法改正が進んでおり、法廷での証言についてはだいぶ負担が少なくなるようにはなっておりますが、それでも負担が大きいのは変わらないと言えます。

5 不同意性交等の被害に遭った方は一度弁護士にご相談ください。

不同意性交等の被害に遭われた方、納得いく処罰を実現し、納得のいく損害賠償金の獲得を目指されたい方は、ぜひ一度被害者弁護を扱う弁護士にご相談ください。
もちろん、トラブルに巻き込まれたために頭の整理が出来ておらず、何をしたらよいのかという考えにも至らない方もいらっしゃると思います。そのような場合でも、最大限お話を聞いて、最適な解決策を提案いたします。
相談に関しては無料ですので、是非一度お気軽にご相談ください(https://higaisya-bengo.com/soudan/)。

性犯罪被害者は刑事裁判の法廷でも保護されます

2024-07-03

性犯罪の被害に遭ってしまった場合、刑事裁判の法廷で証言しなければならなくなることは、被害者の方にとって大きな負担となります。
実際に、法廷での証言を回避するために被害届を出すことを断念したり、示談に応じざるを得ないということもあります。
しかし、最近は法改正によって、性犯罪被害者が法廷で証言をする負担が緩和される傾向にあり、証言のうち主尋問にあたる部分を、事前に録画した動画で対応することができるようになりました。

刑事裁判

対象者

令和5年に行われた刑事訴訟法の改正によって、性犯罪被害者が証言する負担が一定の条件のもとで緩和されることになりました(刑事訴訟法321条の3)。対象となるのは、以下に記す性犯罪被害者等になります。性犯罪被害に限定されるわけではありません。

・不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、不同意わいせつ等致死傷、十六歳未満の者に対する面会要求等、わいせつ・結婚目的等略取及び誘拐、わいせつ・結婚目的人身売買、被略取者引渡し等、強盗・不同意性交等及び同致死の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
・児童福祉法、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律の罪の被害者
・犯罪の性質、供述者の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、更に公判準備又は公判期日において供述するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者

証拠提出方法

対象者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録した記録媒体を提出して行うことになります。
その供述がされた聴取の開始から終了に至るまでの間における供述及びその状況を記録したものに限られます。
供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、供述者の不安又は緊張を緩和することその他の供述者が十分な供述をするために必要な措置、供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、誘導をできる限り避けることその他の供述の内容に不当な影響を与えないようにするために必要な措置、が特に採られた情況の下にされたものであると認める場合であって、聴取に至るまでの情況その他の事情を考慮し相当と認めるときに、証拠とすることができます。性犯罪被害であれば無条件に認められるわけではないことには注意が必要です。

反対尋問

この場合において、裁判所は、その記録媒体を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければなりません。
つまり、反対尋問の機会が設けられる、加害者側の弁護人から反対尋問を受けることになります。反対尋問も含めた公判(刑事裁判)の流れについては、こちらもご参照ください。https://tokyo-keijibengosi.com/kouhan_flow/
しかし、法廷では被害者の名前等の個人情報は読み上げられません。
他にも、被害者を衝立で囲って加害者や傍聴人等から見られないようにされます。
もしくは、裁判所の別の部屋からリモートで参加して、やはり加害者や傍聴人等から見られないようにされます。法廷における犯罪被害者保護の具体的な内容については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/hanzaihigai_himitu/

今後の刑事手続についてご不安ならぜひご相談を

性犯罪被害に遭ってしまった場合、今後の刑事手続に対して大きな不安を感じるはずです。
加害者はきちんと逮捕・勾留されるのか、起訴されるのか、有罪になるのか、といったことについて心配になると思います。
加害者から賠償はなされるのか、お金を受け取ったら刑事罰が小さくなるのか、といったことについても考えることが多いです。
同時に、被害者自身が、捜査で取調べを受けるのか、裁判となったら法廷に立たなければならないのか、個人情報やプライバシーが漏れてしまうのではないか、などについても大きな不安を感じることが多いです。
もしくはより積極的に、刑事裁判に被害者参加を希望し、被害者の想いを法廷で主張していきたいという人もいると思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、犯罪被害者支援に精通している弁護士が多数所属しております。
性犯罪被害者の方々のご不安に対して、一つ一つ丁寧にご説明いたします。
まずは気軽にご相談してください。
被害者の方だけでなく、ご家族の方も一緒に相談にお越しいただけましたら、ご一緒に説明いたします。

【報道解説】盗撮未遂容疑の警察官を不起訴処分 女子中学生スカート内にスマホ疑い

2024-05-18

警察官が女子中学生のスカート内にスマホを差し入れ盗撮しようとした事件について、不起訴処分となったという報道がありました。なぜ不起訴処分となったのかなどについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【報道の内容】

京都地検は、性的姿態撮影処罰法違反(撮影未遂)と京都府迷惑行為防止条例違反の疑いで逮捕された警察官Aについて、不起訴処分にした。理由は明らかにしていない。
Aは、京都市左京区の京阪出町柳駅で、スマートフォンを女子中学生のスカート内に差し入れ、撮影しようとしたとして、京都府警下鴨署に逮捕された。逮捕時の調べに対し容疑を認めていた。
(京都新聞令和6年2月14日インターネット記事https://news.yahoo.co.jp/articles/4bc2b7bed8a8011b6cd81fa1eb77038fb33701a5より抜粋。一部改変)

盗撮

性的姿態撮影処罰法とは

性的姿態撮影処罰法とは、令和5年7月13日より施行された新しい法律です。
盗撮事件の増加に伴い、これまで各都道府県の迷惑行為防止条例によって規制されていた盗撮行為について、より罰則を強化して取り締まりを充実させるために制定されました。
これまでは、盗撮場所が分からなかった場合には条例は各都道府県によって違うため、処罰ができないことがありました。
また、各都道府県によって条例の内容が違うため、条例では処罰できなかったり、軽い刑罰しか定められていなかったりといった問題がありました。
法律になったことで、どこで行った盗撮でも罪に問うことが可能となり、刑罰も3年以下の懲役又は300万円以下の罰金というより重いものとなりました。
さらに、本件のように、未遂罪についても処罰することができるようになりました。

なぜ不起訴となったのか

今回の事件では、Aは自分の行為を認めています。
そのため、通常であれば罰金などの刑罰を受けることになると考えられます。
しかし、今回は不起訴となっています。
不起訴となる場合にもたくさんの場合がありますが、今回の事件では、①嫌疑不十分、②起訴猶予のいずれかによって不起訴となっていると考えられます。
嫌疑不十分とは、犯罪を証明するための証拠が少なく、間違いなくAが性的姿態等撮影未遂にあたる行為を行ったという証明ができなかったという場合です。
しかし、今回の事件では、Aは自らの行為を認めていますし、逮捕されていることから盗撮しようとしたという証拠は十分にあったと考えられるため、①嫌疑不十分のために不起訴になった可能性は低いと考えられます。

起訴猶予とは

起訴猶予とは、犯罪の証明はできるが、いろいろな事情から判断して起訴をいったん見送ったというものです。
色々な事情としては、成立する罪の軽重、事件内容の軽重、被害弁償の有無、被害者の処罰感情、被疑者の反省、社会的影響の軽重など様々な事情が考慮されます。
今回は盗撮事件ですので、被害弁償の有無や被害者の処罰感情、被疑者の反省などが考慮されたと考えられます。
つまり、おそらくAは被害者である女子中学生(未成年者なのでその両親)との間で示談を締結していると考えられ、また、警察官の職を失っていると考えられることから不起訴となったと思われます。

公務員によって被害を受けた場合

本件のように公務員から被害を受けた場合、加害者である公務員側から示談交渉を持ち掛けられることが多くあります(示談については、こちらのページもご覧くださいhttps://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/)。
なぜなら、国家公務員であれ地方公務員であれ、犯罪を起こして起訴されてしまうと、たとえ執行猶予がついたとしても失職してしまうからです。
また、警察官や消防士、教職員などについては、一般の公務員よりも懲戒処分の指針が厳しく定められており、司法判断つまり刑事処分の如何によって懲戒処分の重さが決まることになっていることが多くあります。
そのため、加害者が公務員の場合には、不起訴や略式罰金の処分を勝ち取るために示談交渉を持ち掛けてくるのです。
示談を受ける場合のメリットは、賠償を早期に受けることができ、接触しないなどの条件を付けることができることが挙げられます。
一方デメリットとしては、示談を受けることにより加害者の刑事処罰が軽くなったり、不起訴となって刑事処罰を受けることがなくなったりすることが挙げられます。
その他、事案によって示談を受けるメリットデメリットがありますので、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

不同意性交等罪での示談について

2024-04-19

犯罪被害に遭って警察に通報し、警察が事件として扱ってくれることになりました。警察に通報したところでは犯人が誰なのか分かりませんでしたが、警察の懸命な捜査の結果犯人が分かり、犯人が検挙されました。犯人は逮捕されているようなので、犯人が直接被害者とやり取りすることはできないようですが、逮捕されて間もなく、検察庁から電話があって、犯人の弁護士にだけ被害者の連絡先を教えてよいかと質問されました。
今回は、加害者側の弁護士から連絡先を教えてほしい、などと言われたときの対応と、結果の見通しについてお話しします。

示談交渉

1 参考事件

愛知県名古屋市北区に住む女性Aさんは、事件当時高校生でした。
ある日、部活動が遅くなって、夜に最寄駅から自宅までの道を歩いている最中、加害者の男からいきなり襲われ、人目につかないところまで引っ張られて、殴る蹴るなどの暴行のほか、男性器を女性器に挿入されそうになる、その様子を携帯電話端末で撮影されるなどの被害に遭いました。Aさんは、加害者との面識は一切ありませんでした。
Aさんが自宅に帰宅して夕食を食べるものの、このような経緯から制服が非常に汚れていたこと、夕食時の様子がおかしかったことなどから、Aさんの母親Bさんが、Aさんに何があったのか尋ねると、Aさんは先ほどのような経緯を話しました。これは大変だと思ったAさんとBさんは、事件当時来ていた制服などを持ってすぐに最寄りの警察署に向かいました。
その後、Aさんは深夜まで及ぶ取調べを受け、身体からも犯人のDNAを採取するために検体の保存が行われました。数日後にもまた数時間にも及ぶ取調べを受けました。防犯カメラ映像や、DNA型の文政期が上手くいったことから、先ほどの加害者が逮捕されました。
逮捕後すぐに、検察官から「加害者側が被害弁償をしたいということなので、加害者の弁護士だけにBさんの電話番号を教えても良いか」と言う電話が来ました。(この参考事件はフィクションです。)

2 法律解説

本件の加害者の行為については、不同意性交等罪にあたることはほとんど争いないでしょう。
また、不同意性交等の様子を撮影しているので、性的姿態等撮影罪も成立します。今回は、加害者弁護士から接触の試みがあったときの対処を開設するのがメインなので、詳しい条文解説は省略します。不同意性交等罪の解説は、こちらの記事もご参照ください。https://keiji-bengosi.com/gokan_kyoseiwaisetsu/
本件の加害者の行為については、示談や弁償等が無ければ相当厳しい処分になるのは間違いなさそうです。加害者や、加害者の弁護士としても、何とか示談や弁償をしたいという気持ちが高まっていると思われます。

3 対処法・弁護士によるサポート

まず考えなければならないのは、そもそも加害者の弁護士に電話番号を教えるかどうかです。基本的に、弁護士には守秘義務があるため、加害者本人やその家族に被害者の電話番号を教えることはないと考えられます。守秘義務違反には弁護士業務停止を含む相当重い懲戒処分が予定されるので、弁護士から加害者に被害者のプライバシー情報が漏れることはないのですが、どうしても心配ということであれば電話番号を教えないようにするとか、代理人の弁護士を依頼してその弁護士の連絡先を伝えてもらうということが考えられます。
次に考えるべきことは、示談金額及び誓約条項です。示談金額については、法律で金額が決まっているわけではないので、弁護士や加害者によって提示額も様々となり、妥当な金額であるのかどうか判断が難しい可能性があります。弁護士に依頼することによって、より打倒で納得できる金額になるように交渉することができる可能性がありますし、依頼をしないにしても、妥当な金額かどうかの回答をすることはできます。また、その他示談条件についても、一定の場所を一切通らない、一定の場所に近付かない等の内容が考えられます。このような条件も、弁護士や加害者によって提示内容は様々ですし、加害者側も被害者側の事情をよく知っていることは考えにくいので、最初から被害者側が納得できるような条件が提示されるとは限りません。やはり、その他示談の条件についても、弁護士に相談・依頼をすることで納得できる妥当な内容に近付く可能性が高くなります。
最も重要なのが、被害者の刑事処分を望まないような内容を示談書に記載するかどうかです。
被害者の刑事処分を望まないような内容の条項を、一般的には宥恕(ゆうじょ)条項と呼んでいます。宥恕というのは、要するに加害者を「許す」という内容であると理解していただいて構いません。
この宥恕条項については、加害者の刑事処分を軽減するのに相当重要な意味合いを持っており、加害者側としてはできるだけ示談書に盛り込みたい条項になります。示談書に記入した以上、基本的には「やっぱり許したくない」といったようなことを後から言うことはできなくなりますので、このような条項を入れるのであればよく気持ちを整理してから入れる必要性があると言えます。また、宥恕条項を入れるのであれば、その他の条件について妥当かどうかを判断し、妥当な条件に近付けるために弁護士が果たす役割も無視できないと言えます。示談についてはこちらの別記事もご覧ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/

4 最後に

以上、加害者側の弁護士から接触の試みがあったときの対処法を簡単に紹介させて頂きました。
以上でご紹介させて頂いた他にも、各条項については示談・契約でしか使わないような専門的な用語が入っていたり、個別の事件事情により必要な条項が入っていたりいなかったりすることがあります。
加害者側としては、刑事処分を軽減するために被害者側に有利な条件を受け入れてくれる可能性も比較的高いのかもしれませんが、示談書全体の効力はよく検討しないといけませんし、細かい交渉を行うのは被害者側には大変かも知れません。
いずれにしても、弁護士に一度相談をしてみるのが示談交渉において正しい判断をしていくのに役に立つことでしょう。

性的な画像が拡散されてしまったら

2024-03-22

性的な行為の相手方が性的な行為の様子を撮影して、その映像がその相手方の携帯電話端末などに残っている、という状況は想像するだけでもなかなか危険な状態であり、特別な状況でもない限りそういった撮影行為は許さないのが通常です。しかし、性的な行為の相手方を信頼している等の状況によって、自分が性的な行為をしている状況の映像を相手方に撮影させてしまい、その相手方から映像が拡散してしまうと言ったことは絶対にないことではありません。
今回は、性行為をしている姿の撮影に応じてしまい、その映像が拡散してしまったケースについて解説します。

スマホ

1 参考事件

愛知県豊橋市内に住む25歳の女性Aさんは、交際している男性Bと性行為を行った際、Bから頼まれたこともあって、性行為をしている最中の様子をBが動画撮影するのを許してしまっていました。Aさんは動画が拡散するのは恥ずかしいと思っていたこともあり、Bには映像の拡散だけは絶対にしないようにお願いし、映像の拡散はしないということを信じて撮影に応じていました。撮影された映像には、Aさんの顔もはっきりと映っていました。
しかし、あるとき、AさんとBの関係が悪くなり、AさんとBは別れることとなりました。別れたときに、Bの方から付き合っているときに撮影した動画や画像をばらまく、と言うようなことは言われていませんでした。
別れてしばらくした後、AさんとBの共通の知り合いCから、Aさんの性行為の様子を撮影した動画を全く別のDから受け取ったことを知らされました。Aさんは、性行為の様子を撮影することは一応許していたものの、拡散までは許していなかったので、警察に相談することにしました。
警察署では、警察官が親身になって話を聞いてくれ、いわゆるリベンジポルノの事件として捜査してくれることになりました。
捜査の結果、BからDにAさんの性行為映像が送られたのち、DからCに送られ、なんとCも3人にその映像を送っていることが判明しました。自分の性行為映像が拡散していることを教えてくれたCさんまでもがその映像の拡散に加担していたことが分かり、Aさんは誰を信じたらよいのか分からなくなりました。
(この参考事件はフィクションです。)

2 法律解説

本件のB、Cの行為については、それぞれ私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律違反に該当します。
法律の内容は以下です。リベンジポルノについては、こちらの記事もご参照ください。https://chiba-keijibengosi.com/revenge_porn/

(私事性的画像記録提供等)
第三条 
1 第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を不特定又は多数の者に提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 前項の方法で、私事性的画像記録物を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者も、同項と同様とする。
3 前二項の行為をさせる目的で、電気通信回線を通じて私事性的画像記録を提供し、又は私事性的画像記録物を提供した者は、一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
4 前三項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

この法律では、撮影が無許可であることや、そもそも撮影者が自分であること等は一切規定されていませんので、少なくともBの行為もCの行為も指示性的画像記録提供等の罪に当たる可能性が高いと言えます。そのため、刑事処分もBとCそれぞれが受けることになる可能性が高いです。金銭的な損害賠償請求についても、BとCそれぞれに行うことができる可能性が高いです。

3 対処法・弁護士のサポート

本件では既に警察が捜査に動いている状態なので、警察の取調べ対応ももちろん重要ですが、最も重要なのは損害賠償や示談交渉の対応になります。本件は、Aさんの告訴が無ければ起訴が出来ない所謂「親告罪」にあたりますので、BやCからすれば少なくとも一応損害賠償や示談をすることを考える可能性が高いと言えます。
示談交渉や損害賠償請求に応じる場合は、BやCの捜査での認否や、弁解の状況について必ず確認した方が良いでしょう。認否や弁解の状況によっては、気持ちの面で示談をしたことについて後悔をする可能性も高くなりますし、不合理な否認や弁解をしている人との間で低額な示談金で示談をするのは非常に納得がいかないことと思います。
基本的に、示談や損害賠償の申し出は相手方の弁護人を通じて行われるので、上記のようなポイントを一応押さえていれば、ある程度納得のいく解決が得られる可能性が高いとも言えます。
しかしながら、相手は法律や交渉のプロであり、全く何も知識や技術の無い状態だと本当に納得のいく解決は難しいかも知れませんし、相手方の弁護士が刑事事件や被害者弁護の経験があまりない場合だと、法的に問題のある示談内容となる可能性もゼロではありません。
やはり、スムーズに、かつ納得のいく解決に近付くには、被害者弁護・刑事弁護のノウハウを持っている弁護士に相談してみるのが良いでしょう。示談交渉の流れなどは、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/

4 最後に

以上、性的な画像が拡散してしまった時の対応について簡単に紹介させて頂きました。
もちろん、特に弁護士に依頼をすることなく解決をすることができれば、弁護士費用の持ち出しを気にする必要は無いのですが、納得のいく解決が出来なくなったり、相手方から弁償の申し出がない場合に損害賠償請求を行っていくのは困難になってきます。被害者弁護・刑事弁護のノウハウを持った弁護士がいれば、納得のいく解決にぐっと近づくことでしょう。
性的な画像を拡散されてお悩みの方は、一度あいち刑事事件総合法律事務所にお電話ください。

不同意わいせつ被害に遭った時の弁護士の選び方

2024-02-27

犯罪被害に遭ったとき、加害者側から任意の謝罪・弁償が受けられれば、犯罪の種類や被害の内容にはよりますが、それだけでも納得のいく解決に繋がるかも知れません。任意の謝罪・弁償が受けられなくても、警察・検察が動いてくれることにより、結果として謝罪・弁償、あるいは示談をすることも出来るかも知れません。しかし、加害者側から任意の謝罪・弁償が無く、自分だけで警察に行っても事件を立件してくれるか不安であったり、加害者側から示談の提案はあったがどうしたらよいか分からないこともあると思います。
そのような時に弁護士に相談・依頼することが検討されるのですが、どういった観点から弁護士を選ぶと良いのでしょうか?以下、簡単な参考事例を基にご説明いたします。

検索

1 参考事件

愛知県内に住むAとBの夫婦には、高校3年生で18歳の娘Cがいました。
ある日、Cが両親ABの知らないところでSNSを通じて知り合った24歳の社会人Xから性的暴行を受けるという不同意わいせつの被害に遭いました。
A、B、Cで警察署に相談に行ったところ、どこの誰なのかわからないし自分で近付いて行ったのだから事件にできない、と言うような対応をされました。A、Bはこの対応について不審感を持ちましたが、どう対応すれば良いか分からずにいました。インターネットで「犯罪 被害 弁護士」と探す等していたところ、膨大な数の法律事務所のホームページが出てきました。A、Bの夫婦は今度はどうやって弁護士を選んだらよいのかわからず、まずは検索ページの一番上に出てきた法律事務所に電話をしたところ、その事務所からは「犯罪の被害者案件は扱っていない」と回答されました。A、B夫婦はますますどうしたらよいか分からなくなりました。
(この参考事件はフィクションです。)

2 法律解説

(不同意わいせつ)
刑法第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
以下略

本件に関しましては、性的行為をするつもりのない被害者Cが加害者Xの家に行ったところ、加害者Xがむりやり被害者Cを押さえつけて胸を触った事件等を想定していただければ問題ありません。不同意わいせつ罪についての解説は、こちらの記事もご参照ください。https://keiji-bengosi.com/gokan_kyoseiwaisetsu/

3 弁護士の選び方

弁護士の選び方としては、料金、取扱分野、実際に接したときの相性といったところがあるでしょう。その他の記事では書ききれないような情報をひとまず考慮せずに決めるのであれば、この3つのなるべく多くクリアしている弁護士に相談・依頼するのがよいことになります。弁護士に依頼する経路を切り口として説明していきます。

(1) 知り合いの弁護士に依頼する

この方法が、基本的には上記の3つの要素をクリアしやすいと思われます。弁護士との関係性から、無理な料金設定をされることは少ないですし、事件当時まで知り合いなので相性の問題もクリアしていると考えて良いはずです。何より、弁護士の人間性などをよく知っていることが最大の安心材料になるでしょう。
問題としては、やはり取扱分野の点になります。一定の関係性があるので依頼も受けてもらいやすく、誠実に事件処理をしてくれるのは間違いなさそうですが、普段扱っていない分野の仕事をすれば誰しも大なり小なりのミスをする危険性が高まります。
しかし、最大の問題としては、そもそも知り合いの弁護士がいないことです。知り合いの弁護士がいなければ、知り合いの弁護士に依頼することは物理的に不可能です。
なお、先述の事例も、知り合いの弁護士がいない設定にしています。

(2) 弁護士会に相談する

弁護士とつながる方法として、インターネットのほかに地域の弁護士会に相談に行く方法もあります。弁護士会に行けば、「日弁連犯罪被害者法律援助制度」など、弁護士費用の援助を受けられる制度について説明を受けられるかもしれないので、料金面もクリアできる可能性が高くなります。
しかし、上記のような弁護士費用の援助制度に対応していない弁護士もまた多いと思われますし、基本的に弁護士費用の援助制度については利用にあたって資力制限があります。

(3) インターネットでの検索

インターネットで検索して弁護士を探す場合、相談・依頼する弁護士の候補自体は大量に出てきます。ポータルサイトなども使えば、より効率的に弁護士を探すことができるでしょう。
問題としては、それでも犯罪被害者の弁護を扱っている弁護士かどうかわからない可能性がある、という点です。しかし、この点については、電話等で取り扱いを確認すればまだ間違いは防げます。
料金面については、弁護士報酬は各法律事務所が自由に設定しているので、様々な料金体系があります。各事務所の説明を聞いた上で、依頼するかどうかを決めると良いでしょう。
最大の問題は、弁護士との相性の問題です。被害者弁護においては、どうしても警察署や検察庁とのやり取りも多く、事件が解決するまでに時間がかかる上、相談しなければならない事柄も多く出てきます。時間が無くなってしまうので、あまり多くの法律事務所を回るのも考え物ですが、明らかにおかしい感じがする弁護士には依頼などをしない方が良いでしょう。

4 最後に

弁護士の選び方や、弁護士とのつながりを得るための経路は様々ありますが、主なものをこの記事でご紹介させて頂きました。
犯罪被害に遭われた際は、まずは被害者弁護を扱う弁護士への相談を検討した方が、より納得できる解決に繋がります。
犯罪被害に遭われて、加害者を告訴したい、損害賠償を請求したいとお考えの方は、あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。弊所での法律相談については、こちらの関連記事もご覧ください。https://higaisya-bengo.com/soudan/

ストーカー被害に遭ったら…

2024-02-13

ストーカーの被害にあった場合において、被害者としてはどのような対応を必要とするのかなどについて、参考事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

ストーカー

1 参考事例

福岡県北九州市の飲食店で働いているXさんは、同僚であるAさんに交際を求められましたが、それを断り、その日からAさんと会話を避けるようになりました。
そうしたところ、Aさんが、Xさんへの思いを諦めることができず、Xさんの住所を、同僚から聞き出し、Xさんの自宅周辺をうろつくようになりました。
Xさんは、Aさんが自宅周辺をうろついているのを見かけ、不安に思い、弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)

2 Aさんの刑事責任について

AさんがXさんの自宅周辺をうろつくことは、Xさんに対する恋愛感情を充足する目的で、Xさんに対し、その住居等の付近をみだりにうろついたものといえ、ストーカー規制法(正式名称:ストーカー行為等の規制等に関する法律)2条1項柱書の「つきまとい等」に該当します。
そして、この「つきまとい等」が反復して行われた場合、「ストーカー行為」(同法2条4項)に該当することになります。
ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処するとされています(同法18条)。ストーカー規制法の解説については、こちらの記事もご参照ください。https://fukuoka-keijibengosi.com/stalker/

3 Xさんのとるべき行動とは

Xさんとしては、まず警察に相談することが考えられます。
ストーカー規制法では、警察本部長等が、つきまとい等を行い、更に反復して行うおそれがある者に対し、更に反復して同様の行為を行わないよう警告することができます(同法4条1項)。
また、公安委員会が、場合によっては、公安委員会が禁止命令を出すということも考えられます(同法5条1項)。
この禁止命令に違反し、ストーカー行為をした者は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処するとされています(同法19条1項)。
Xさんにとっては、身の安全や生活の平穏が最優先事項です。
そこで、警察や公安委員会による手続によって、今後、ストーカー行為がされないようにしていく必要があります。
もっとも、単に、口頭の被害申告をするだけで警察が動いてくれる可能性は低いと思われます。
特に、自宅周辺をうろつかれるなど、ストーカー行為の内容によっては、証拠が残りにくいものがあります(たとえば、執拗に電話を掛けてくる場合には、通話記録が残るため、比較的証拠が残りやすいといえます。)。
そこで、どのような証拠を収集、保全しておく必要があるのか、弁護士のアドバイスが必要になってきます。
特に、ストーカー事案の場合、被害者自身に、身の危険が生ずる可能性もあるので、証拠収集も慎重に対応する必要性が高いといえます。
Xさんとしては、そうして収集した証拠とともに、警察に被害申告をすることが考えられます。

4 被害申告後のこと

ストーカー事案における被害者は、警察に被害申告をして終わりというわけにはいきません。
警察から事情聴取を受けることもありますし、加害者側から示談をして欲しいと連絡があることも考えられます。
しかし、ストーカー事案における被害者にとっては、加害者側とやり取りをするだけで、大変大きな精神的負担になりますし、さらなるトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
示談においても、単に示談金を受け取ることによって安心した生活を送れるとは限らず、示談の中で、接触禁止や口外禁止などを約束してもらうということも重要になってきます。
少しでも安心した生活を送れるために、どのような内容の示談をした方がいいのか、弁護士からアドバイスをもらう必要がありますし、加害者側とのやり取りを弁護士に任せることも重要といえます。示談対応については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/

5 最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ストーカー被害に遭われた方への様々な支援を行っています。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。

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