不同意わいせつ被害に遭った時の弁護士の選び方

犯罪被害に遭ったとき、加害者側から任意の謝罪・弁償が受けられれば、犯罪の種類や被害の内容にはよりますが、それだけでも納得のいく解決に繋がるかも知れません。任意の謝罪・弁償が受けられなくても、警察・検察が動いてくれることにより、結果として謝罪・弁償、あるいは示談をすることも出来るかも知れません。しかし、加害者側から任意の謝罪・弁償が無く、自分だけで警察に行っても事件を立件してくれるか不安であったり、加害者側から示談の提案はあったがどうしたらよいか分からないこともあると思います。
そのような時に弁護士に相談・依頼することが検討されるのですが、どういった観点から弁護士を選ぶと良いのでしょうか?以下、簡単な参考事例を基にご説明いたします。

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1 参考事件

愛知県内に住むAとBの夫婦には、高校3年生で18歳の娘Cがいました。
ある日、Cが両親ABの知らないところでSNSを通じて知り合った24歳の社会人Xから性的暴行を受けるという不同意わいせつの被害に遭いました。
A、B、Cで警察署に相談に行ったところ、どこの誰なのかわからないし自分で近付いて行ったのだから事件にできない、と言うような対応をされました。A、Bはこの対応について不審感を持ちましたが、どう対応すれば良いか分からずにいました。インターネットで「犯罪 被害 弁護士」と探す等していたところ、膨大な数の法律事務所のホームページが出てきました。A、Bの夫婦は今度はどうやって弁護士を選んだらよいのかわからず、まずは検索ページの一番上に出てきた法律事務所に電話をしたところ、その事務所からは「犯罪の被害者案件は扱っていない」と回答されました。A、B夫婦はますますどうしたらよいか分からなくなりました。
(この参考事件はフィクションです。)

2 法律解説

(不同意わいせつ)
刑法第百七十六条 次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
以下略

本件に関しましては、性的行為をするつもりのない被害者Cが加害者Xの家に行ったところ、加害者Xがむりやり被害者Cを押さえつけて胸を触った事件等を想定していただければ問題ありません。不同意わいせつ罪についての解説は、こちらの記事もご参照ください。https://keiji-bengosi.com/gokan_kyoseiwaisetsu/

3 弁護士の選び方

弁護士の選び方としては、料金、取扱分野、実際に接したときの相性といったところがあるでしょう。その他の記事では書ききれないような情報をひとまず考慮せずに決めるのであれば、この3つのなるべく多くクリアしている弁護士に相談・依頼するのがよいことになります。弁護士に依頼する経路を切り口として説明していきます。

(1) 知り合いの弁護士に依頼する

この方法が、基本的には上記の3つの要素をクリアしやすいと思われます。弁護士との関係性から、無理な料金設定をされることは少ないですし、事件当時まで知り合いなので相性の問題もクリアしていると考えて良いはずです。何より、弁護士の人間性などをよく知っていることが最大の安心材料になるでしょう。
問題としては、やはり取扱分野の点になります。一定の関係性があるので依頼も受けてもらいやすく、誠実に事件処理をしてくれるのは間違いなさそうですが、普段扱っていない分野の仕事をすれば誰しも大なり小なりのミスをする危険性が高まります。
しかし、最大の問題としては、そもそも知り合いの弁護士がいないことです。知り合いの弁護士がいなければ、知り合いの弁護士に依頼することは物理的に不可能です。
なお、先述の事例も、知り合いの弁護士がいない設定にしています。

(2) 弁護士会に相談する

弁護士とつながる方法として、インターネットのほかに地域の弁護士会に相談に行く方法もあります。弁護士会に行けば、「日弁連犯罪被害者法律援助制度」など、弁護士費用の援助を受けられる制度について説明を受けられるかもしれないので、料金面もクリアできる可能性が高くなります。
しかし、上記のような弁護士費用の援助制度に対応していない弁護士もまた多いと思われますし、基本的に弁護士費用の援助制度については利用にあたって資力制限があります。

(3) インターネットでの検索

インターネットで検索して弁護士を探す場合、相談・依頼する弁護士の候補自体は大量に出てきます。ポータルサイトなども使えば、より効率的に弁護士を探すことができるでしょう。
問題としては、それでも犯罪被害者の弁護を扱っている弁護士かどうかわからない可能性がある、という点です。しかし、この点については、電話等で取り扱いを確認すればまだ間違いは防げます。
料金面については、弁護士報酬は各法律事務所が自由に設定しているので、様々な料金体系があります。各事務所の説明を聞いた上で、依頼するかどうかを決めると良いでしょう。
最大の問題は、弁護士との相性の問題です。被害者弁護においては、どうしても警察署や検察庁とのやり取りも多く、事件が解決するまでに時間がかかる上、相談しなければならない事柄も多く出てきます。時間が無くなってしまうので、あまり多くの法律事務所を回るのも考え物ですが、明らかにおかしい感じがする弁護士には依頼などをしない方が良いでしょう。

4 最後に

弁護士の選び方や、弁護士とのつながりを得るための経路は様々ありますが、主なものをこの記事でご紹介させて頂きました。
犯罪被害に遭われた際は、まずは被害者弁護を扱う弁護士への相談を検討した方が、より納得できる解決に繋がります。
犯罪被害に遭われて、加害者を告訴したい、損害賠償を請求したいとお考えの方は、あいち刑事事件総合法律事務所に一度ご相談ください。弊所での法律相談については、こちらの関連記事もご覧ください。https://higaisya-bengo.com/soudan/

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