少年事件への被害者としての関わり

少年事件による犯罪被害に遭ってしまった場合、手続の中で被害者ができることについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。少年事件においては、適用される少年法の趣旨や理念のもと、加害者である少年を保護するという側面が重視され、被害者の置かれる立場がより厳しくなりがちです。
被害者の立場でどのような対応が取れるかお悩みの場合は、被害者支援に詳しい弁護士へ相談しましょう。

裁判記録

被害者等による記録の閲覧・謄写

家庭裁判所は、少年に係る保護事件について、審判開始の決定があった後、当該保護事件の被害者等又は被害者等から委託を受けた弁護士から、その保管する当該保護事件の記録の閲覧又は謄写の申出があるときは、申出をした者にその閲覧又は謄写をさせるものとされております。
閲覧又は謄写を求める理由が正当でないと認める場合及び少年の健全な育成に対する影響、事件の性質、調査又は審判の状況その他の事情を考慮して閲覧又は謄写をさせることが相当でないと認める場合は除かれます。
申出は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければなりません。
・申出人の氏名、名称又は商号及び住所
・閲覧又は謄写を求める記録を特定するに足りる事項
・申出人が申出をすることができる者であることの基礎となるべき事実
・閲覧又は謄写を求める理由
この申出は、その申出に係る保護事件を終局させる決定が確定した後3年を経過したときは、することができません。
記録の閲覧又は謄写をした者は、正当な理由がないのに閲覧又は謄写により知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、閲覧又は謄写により知り得た事項をみだりに用いて、少年の健全な育成を妨げ、関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は調査若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはなりません。
加害少年の名前をもとに事件を特定して手続が進められますので、分からない場合は被害者が警察署で加害者の名前を教えてもらうことになります。

被害者等の申出による意見の聴取

家庭裁判所は、少年に係る事件の被害者等から、被害に関する心情その他の事件に関する意見の陳述の申出があるときは、自らこれを聴取し、又は家庭裁判所調査官に命じてこれを聴取させることとなります。
ただし、事件の性質、調査又は審判の状況その他の事情を考慮して、相当でないと認めるときは、実施されません。
申出は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければなりません。
・申出人の氏名、名称又は商号及び住所
・当該申出に係る事件を特定するに足りる事項
・申出人が申出をすることができる者であることの基礎となるべき事実
意見を聴取するときは、申出人の心身の状態に配慮して実施されます。加害少年の前で意見を述べたいと希望した場合でも、家庭裁判所が認めないこともあります。

被害者等による少年審判の傍聴

少年審判は非公開が原則です。
家庭裁判所は、被害者等から、審判期日における審判の傍聴の申出がある場合において、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは、その申出をした者に対し、これを傍聴することを許すことができます。
対象事件は、以下の事件となります。
・故意の犯罪行為により被害者を死傷させた罪
・業務上過失致死傷等の罪
・過失運転致死傷等の罪
いずれも被害者を傷害した場合にあっては、これにより生命に重大な危険を生じさせたときに限ります。
家庭裁判所は、少年に係る事件の被害者等に審判の傍聴を許すか否かを判断するに当たっては、少年が、一般に、精神的に特に未成熟であることを十分考慮しなければなりません。
家庭裁判所は、審判の傍聴を許す場合において、傍聴する者の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、その者が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、審判を妨げ、又はこれに不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、傍聴する者に付き添わせることができます。
裁判長は、審判を傍聴する者及びこの者に付き添う者の座席の位置、審判を行う場所における裁判所職員の配置等を定めるに当たっては、少年の心身に及ぼす影響に配慮しなければなりません。
傍聴・付添いをした者は、正当な理由がないのに傍聴により知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、傍聴により知り得た事項をみだりに用いて、少年の健全な育成を妨げ、関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は調査若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはなりません。
家庭裁判所は、審判の傍聴を許すには、あらかじめ、弁護士である付添人の意見を聴かなければなりません。裁判長は、適正な審判をするため必要があると認めるときは、少年以外の者を退席させる等相当の措置をとることができます。少年審判の流れについては、こちらの記事もご参照ください。https://sendai-keijibengosi.com/syounensinpan/

被害者等に対する説明

家庭裁判所は、少年に係る事件の被害者等から申出がある場合において、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときは、その申出をした者に対し、審判期日における審判の状況を説明することになります。申出は、その申出に係る事件を終局させる決定が確定した後3年を経過したときは、することができません。
説明を受けた者は、正当な理由がないのに説明により知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、説明により知り得た事項をみだりに用いて、少年の健全な育成を妨げ、関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は調査若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはなりません。

被害者等に対する通知

家庭裁判所は、少年に係る事件を終局させる決定をした場合において、当該事件の被害者等から申出があるときは、その申出をした者に対し、次に掲げる事項を通知することになります。少年事件における被害者への通知制度等については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/syounenjiken_higaisya/
・少年及びその法定代理人の氏名及び住居
・決定の年月日、主文及び理由の要旨
ただし、その通知をすることが少年の健全な育成を妨げるおそれがあり相当でないと認められるものについては、除外されます。申出は、終局決定が確定した後3年を経過したときは、することができません。
通知を受けた者は、正当な理由がないのに通知により知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならず、かつ、通知により知り得た事項をみだりに用いて、少年の健全な育成を妨げ、関係人の名誉若しくは生活の平穏を害し、又は調査若しくは審判に支障を生じさせる行為をしてはなりません。

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