会社役員による業務上横領事件 刑事事件化すべきかの判断基準

青森県内で発生した会社役員による業務上横領事件について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

横領

事件概要(10月31日配信のABA青森朝日放送の記事から引用)
八戸市の水産加工会社の元役員が、業務上横領の疑いで逮捕されました。容疑者は、当時役員を務めていた八戸市の水産加工会社で、2020年12月に、2回に分けて合わせて83万円を着服横領した業務上横領の疑いが持たれています。被害会社によりますと、元役員が2012年4月から2021年3月までに複数回にわたり、不正に金銭を引き出して私的に流用し、被害総額は2億円にのぼるとしています(引用元記事https://www.aba-net.com/news/news-91364.html)。

業務上横領事件が起きた場合の刑事手続

警察が捜査を開始する端緒には様々なものがありますが、その一つに被害届の提出があります。業務上横領事件の場合は、会社内部で不透明な資金の流れや不自然な会計処理が発覚し、内部調査を経て警察に被害届が提出されるという流れが多いです。
被害届を受理した警察は、本格的に捜査を開始していきます。在宅のまま被疑者(容疑者)の取調べを行うこともありますが、引用事件のように逮捕がされることもあります。逮捕に引き続いて勾留の決定がされた場合は、被疑者は最大20日間の身体拘束を受けることになります。
刑事処分は警察官ではなく、検察官が起訴・不起訴の判断をして決定します。勾留の決定がされている場合は、勾留の満期日までに検察官が処分を決めます。引用した事件では会社役員が業務上横領罪の疑いで逮捕されていますが、刑法253条は業務上横領罪の法定刑を「10年以下の懲役に処する」と定めているため、検察官が起訴の判断をした場合は、被疑者は必ず刑事裁判を受けることになります。刑事正式裁判になると、最終的に裁判所が有罪・無罪の判断及び量刑の決定をします。刑事事件の流れについては、こちらの記事もご参照ください。https://sendai-keijibengosi.com/keijijikennonagare/

会社役員が業務上横領事件を起こした場合

刑事事件によっては、被害者からみて被疑者が誰か分からないこともありますが、業務上横領事件の場合は、まずは内部調査を行うことがほとんどなため、被害届を提出する前に被疑者が判明する場合もあり得ます。
警察に被害届を提出する前に、会社が役員から事情を聴くこともできます。ケースによっては、すぐに警察へ被害届を提出するよりも、内々での対応にとどめた方が有益なこともあります。例えば、会社側が聞き取りを行って、役員が横領の事実を認め、弁償の意思も資力もあるとなれば、示談を締結することで早期に問題を解決することも可能になります。示談については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/
 これに対して、被害届を提出して刑事事件化した場合、被疑者となった役員が逮捕・勾留されて長期間の身体拘束を受けることで、役員が自ら弁償のために資金工面に動けなくなり、かえって問題の解決を長引かせてしまうリスクもあります。また、逮捕がされた場合は基本的に実名報道がされることになるため、被害に遭った会社に非はないにしても、警察沙汰になったことが大々的に報道されることで、会社自身も思わぬ風評被害を受けてしまうこともあります。

被害に遭った会社から弁護士に相談・依頼するするメリット

このように、会社役員による業務上横領事件が発生した場合、被害届を提出して刑事事件化するべきかどうかは、会社や役員を取り巻く事情によって変わってきます。そして、その判断は容易にはできません。刑事事件となった場合に、被疑者が逮捕・勾留される可能性、起訴されて刑事裁判となる見通しについては、刑事事件の経験が豊富な弁護士に相談することが一番確実です。会社として顧問弁護士がいる場合でも、刑事事件としての見通しや被害者側としてどのような対応ができるかは、専門分野の弁護士に相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、長年、刑事事件に力点を置いた弁護活動を行ってきた経験から、刑事事件化した場合の見通しを示し、早期の示談対応を行うといった、被害に遭ってしまった会社の求めるニーズに合わせた弁護活動を展開します。
会社役員による業務上横領事件の被害に遭ってお悩みの場合は、まずは弊所までご相談ください。刑事事件と被害者対応に実績のある弁護士が相談にあたります。

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