近年はインターネットの発展により、ネット上でのトラブルも増えてきています。
特に、インターネットの掲示板やTwitterなどのSNSを通じて、特定の個人を誹謗中傷し、それによって被害者の方が自殺をしてしまうなどの痛ましい事件も起きてきています。
また、口コミサイトなどでサクラを使って評価を不当に上げたり下げたりすることによるトラブルも多くなっています。
相手の顔が見えないことで、インターネットを使用した誹謗中傷などはエスカレートしていく傾向にあります。
インターネットは容易に情報を発信できる便利なツールですが、これを悪用したり、悪気なく人を傷つけてしまったりというトラブルにも容易に発展してしまいます。
インターネットでのトラブルに巻き込まれてしまった方に向けて、主に必要な手続きや対応などをご紹介します。
このページの目次
【ネットトラブルで多い内容】
1 掲示板やSNSでの誹謗中傷
最近ニュースなどでもよく取り上げられる、ネットでの誹謗中傷は年々増加傾向にあります。
ネットでの誹謗中傷により傷付けられるだけでなく、そこからいじめなどに発展し、自殺をしてしまう方もいらっしゃいます。
また、ネットトラブルの怖いところは容易に拡散されてしまうことです。
いわれのない誹謗中傷でも、拡散されてしまうことでさも事実かのように世間に認知されてしまったり、悪い場合には、誹謗中傷された人の個人特定がなされて更に多くの人から酷い誹謗中傷をされてしまうこともあります。
誹謗中傷は、名誉棄損罪や侮辱罪などにあたるれっきとした犯罪行為です。
2 掲示板やSNSを通じて個人情報が公開された
ネットトラブルの相談で誹謗中傷の次に多いのは、個人情報の公開です。
名前や住所、電話番号だけでなく、ときには顔写真までもがネット上にさらされてしまう場合もあります。
見ず知らずの人から電話がかかってきたり、自宅付近を知らない人がうろつくようになったりと平穏な生活が送れなくなってしまう危険があります。
中には、付き合っていた人が画像を公開してしまうこともあり、日常生活が脅かされるだけでなく、精神的にもつらい思いをしてしまうことも少なくありません。
ネット上に個人情報を公開することは、プライバシー権の侵害にとどまらず、名誉棄損罪やリベンジポルノ法違反といった犯罪に当たる場合もあります。
3 口コミサイトに嘘の内容・不当な評価を書かれた
最近では飲食店だけに限らず、様々な業種で口コミができるサイトが増えてきました。
口コミを参考にして利用するかどうかを決める人も多数いるため、大手口コミサイトでは店舗の評価についても星の数などで表してランキングをしています。
集客に直結する口コミに嘘の内容を書き込まれると、不当に店の評判が落とされ、お店の経営に大ダメージを負うことになってしまいます。
誰でも見れるからこそ影響力が大きいといえるネットの口コミで、不当に悪評を書かれてしまうと一度ついたイメージを払しょくすることも大変です。
嘘の内容や不当な評価を投稿された場合には、不当に利益を害されているので損害賠償を請求できることはもちろん、名誉棄損罪や偽計業務妨害罪などの犯罪にも当たる場合があります。
4 アカウントのなりすまし、乗っ取り
SNSのアカウントを乗っ取られたり、アカウントに成りすまされたりする事例も増えてきています。
アカウントのなりすましや乗っ取りが行われた場合、それだけにとどまらず、成りすましたりしたアカウントを悪用されてしまうこともあります。
また、なりすましや乗っ取りにはすぐに気が付かない場合が多く、気が付いたときには様々な悪用をされてしまっていたということもあります。
アカウントのなりすましや乗っ取りは、不正アクセス禁止法違反という犯罪に当たりえますので、気が付いた場合には被害の拡大を防ぐためにも早めに対処しましょう。
5 フリマなどネットを利用した取引に関するトラブル
フリマなどネットを利用して商品を購入する人も増えてきています。それに伴ってネットを利用した取引に関するトラブルも増えてきています。
「掲載されている写真や情報と違う商品が届いた」、「料金を振り込んだのに商品が届かない」といった相談が多く、悪質なものは詐欺罪にあたるものもあります。
しかし、返金や商品の交換に応じてもらえなかったり、出品者と連絡が取れなくなってしまったりといったことが多いのもネット取引の特徴です。
また、オークション詐欺や懸賞詐欺、ロマンス詐欺など、ネットを使用した特殊詐欺も多くなってきています。
犯人の特定や故意(だます意思)の証明が難しいこともネット犯罪の特徴ですので、少しでもおかしいなと感じたらすぐに弁護士や警察に相談してください。
6 自撮り写真の交換によるトラブル
近年では、スマートフォンを小学生なども持つようになってきており、ネット被害を子供が受ける場合も増えてきています。
特に多いのは、お子さんが出会い系やコミュニケーションアプリを利用して知り合った人から裸の写真を求められ、送信してしまったり、送信した画像をもとに相手に脅されて更に裸の画像を送ることや会うことを強要されたりするといった児童を被害者とする犯罪に発展している場合です。
18歳未満の児童に対してわいせつな画像を送るように要求すること自体が、各都道府県の条例に違反することになり、送信を強要することは児童ポルノ法違反や強要罪となります。
お子さんは、一人で悩んで誰にも相談できない間により酷い被害を受けてしまう場合もありますので、お子さんの態度に普段とは違う様子が見られたら、しっかり話をすることが大切です。
ネットトラブルに巻き込まれた場合の対応
1 サイトへの削除依頼
誹謗中傷などの投稿を運営サイトに対して削除するように求めることができます。
対応がしっかりしているサイトであればきちんと削除要請に対応してくれますが、中には削除要請フォームがなかったり、削除要請先や運営者がそもそも分からないサイトもあります。
また、ネットトラブルの特性として拡散してしまうことが挙げられますが、ひとつのサイトにとどまらず複数のサイトに誹謗中傷がなされている場合、それぞれのサイトに削除要請することはとても大変です。
専門家に相談して、専門家から削除依頼をしてもらうことも方法のひとつです。
たとえば、一般社団法人セーファーインターネット協会の「誹謗中傷ホットライン」では、該当するサイトに削除対応を促す通知を出してくれます。
もっとも、実際に削除されるかはサイト次第となりますので、弁護士を通じて交渉をしてもらうことも削除してもらいやすくする方法のひとつです。
<相談先> 誹謗中傷ホットライン、違法・有害情報相談センター、弁護士など
2 発信者情報開示請求
インターネット上で誹謗中傷などを受けた場合、誹謗中傷の書き込みをした人(発信者)に対して損害賠償請求をしたり、被害届を提出することが考えられます。
しかし、インターネットの書き込みは匿名で行われることも多く、発信者が誰であるのか分からない場合がほとんどです。
発信者が分からなければ、損害賠償請求ができなかったり、被害届が受理されなかったりする場合があり、誹謗中傷の書き込みがされ続けてしまうということも考えられます。
そのような事態を避けるために、インターネット上で他者を誹謗中傷するような表現を行った発信者の情報(住所・氏名・登録された電話番号等)について、プロバイダに対して、情報の開示を求める制度が、発信者情報開示請求(プロバイダ責任制限法第4条)です。
発信者情報開示請求には、様々な要件があるため、要件を満たしているのか一度弁護士にご相談ください。
また、一般的にプロバイダは任意の開示には応じてくれないことがほとんどですが、弁護士法23条による照会などで発信者情報を求めていく方法もあります。そのような手続きについても弁護士にご相談ください。
3 警察へ被害の届出
ネットトラブルの多くは、名誉毀損や業務妨害など犯罪にあたります。
そのため、警察に被害を届け出て捜査してもらい、最終的に処罰してもらうことも考えられます。
しかし、警察へ相談してもすぐには捜査を開始してくれない場合が多くあります。
その理由としては、犯罪を証明するに足る証拠が少ないというものがほとんどです。
ですので、警察に被害を届け出る前には、被害の状況や日時などが分かる証拠を準備しておく必要があります。
精神的に障害を負ってしまった場合には、診断書を取得しておくことも重要です。
警察に捜査してもらうためにはどのような証拠が必要か、どのように証拠を集めたらよいのかについては、弁護士が詳しくアドバイスしてくれますし、一緒に証拠を集めて警察に被害届や告訴の提出をしてくれますので、警察へ相談に行く前にネット犯罪に詳しい弁護士にご相談ください。
4 損害賠償請求
ネットトラブルによって被害を受けた場合には、加害者に対して損害賠償を請求することができます。
損害賠償の請求方法としては、加害者に対して民事訴訟を提起することが考えられますが、加害者を特定し、被害を証明できる証拠を準備し、裁判に出廷するなど、相当な時間と労力がかかってしまいます。
民事訴訟によらずに加害者に対して賠償を請求していくこともできますが、加害者と直接交渉をしなければならないなど、精神的にも負担が大きくなってしまいます。
そのような場合には、弁護士に依頼して、加害者との交渉の窓口になってもらいましょう。弁護士が交渉をして、最終的に民事裁判となった場合には弁護士が裁判に対しても対応してくれますので、労力や精神的な負担を軽減することができます。
ネットトラブルには、様々な種類があり、ここで紹介したものは一部にすぎません。
ネット関連のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まず弁護士に相談してどのような対応策が取れるのかアドバイスをもらってください。
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