傷害など後遺症が残った場合

傷害被害など後遺症が残った事件

被害者の方は、物理的な傷害だけでなく、精神的に病まれる方も多く、入院などのために収入が減少しているため、経済的な支援を受けたい方も多いと思われます。

また、犯人の厳罰のために裁判に参加したい被害者の方々もいるかと思います。

そのような方に向けて、主に必要な手続きや公的支援などをご紹介します。

捜査・裁判への関与の仕方

①事件発生の通報・証拠保全

  • 傷害事件の被害者となってしまった場合には、すぐに警察に通報しましょう。早く通報することで犯人逮捕や証拠の保全など、その後の事件解決に向けた動きが速くなります。
  • 暴行を受けた場合には、怪我の有無も含めて早期に病院で診断を受けることが重要です。
    傷害事件の証拠として診断書が重要となりますが、暴行から日数が経ってしまうと怪我の状態が変化してしまい、きちんとした診断ができなかったり、診断書の取得が遅れてしまうと傷害を証明すること自体が難しくなってしまったりする可能性があります。
  • すぐに病院に行けない事情がある場合には、暴行を受けた個所の写真を撮っておくなど、証拠を保全しておくことが大事です。弁護士に依頼すれば後々の証拠としても使えるように助言や書類の作成を行ってもらえます。

※詳しくは、「犯罪被害に遭った場合の対処方法」へ
※詳しくは、「犯人を見つけて逮捕してほしい」へ

②取調べ(事情聴取)、実況見分の立会い

  • 被害現場や被害状況の確認のため、被害者立会いのも実況見分や再現が行われることが多くあります。一人ではうまく話が出来なかったり、どういったことをすればよいのか不安だったりといった場合には、弁護士と一緒に実況見分に立ち会ったり、弁護士の助言を受けながら話をすることができます。
  • 事件内容などに関する事情聴取では、プライベートな内容にまで踏み込んで聴き取りが行われる場合があります。しかし、被害者に黙秘権は保障されていないため、すべてを赤裸々にしゃべらなければならいないのかと不安になることでしょう。弁護士が被害者の方から聴き取った内容を警察に伝えたり、事情聴取に同席したりして被害者の方の不安を最小限に抑える活動を行うことができます。

※詳しくは、「犯人を見つけて逮捕してほしい」「取調べ(事情聴取)や裁判へ一人で行きたくない」へ

③証人として法廷に立つ

  • 加害者が事件を否認している場合や処分の重さを決めるために重要と考えられる場合には、被害者の方の証人尋問が行われます。
    公開の法廷で尋問を受けることになるため、加害者や傍聴人の目の前で話をすることになります。
    加害者や傍聴人の前ではしっかりと話ができるか心配な場合には、見られないように遮へいなどの措置を採ってもらうことができます。
    そのような措置について詳しく知りたい方は弁護士にご相談ください。

※被告人や傍聴人に見られたくない方、一人では心細い方は、「犯罪被害を秘密にしたい」「取調べ(事情聴取)や裁判に一人で行きたくない」へ

④被害者参加制度の利用

  • 傷害事件の被害者の方は犯人の刑事裁判に参加することができます。被害者の方ご自身が裁判に参加しなくても被害者の方から委託を受けた弁護士が代理で参加することもできます。
  • 被害者参加制度を利用した場合、次に挙げることができます。
    ・公判期日への出席
    ・検察官に対する意見申述
    ・証人尋問
    ・被告人質問
    ・被害者論告

※詳しくは、「刑事裁判に参加したい」へ

⑤心情等に関する意見陳述

  • 被害者の方は裁判で被害を受けたことに対する心情などを述べることができます。
  • 被告人に今の気持ちを伝えたいという場合には、事前に申出をする必要があります。

※詳しくは、「犯人を厳しく処罰してほしい」へ

⑥損害賠償命令制度の申立て

  • 傷害事件の被害者の方は刑事裁判の第一審の審理が終了する前に申立てをすれば、加害者に賠償を請求する手続が刑事裁判に引き続いて行われます。
  • 通常の民事裁判を提起するよりも手続や手数料などの優遇が受けられる手続です。

※詳しくは、「犯人にお金(損害賠償)を請求したい」へ

経済的支援

①診断書の公費支出

  • 傷害事件の事件捜査又は立証のために必要となる診断書の発行に要する費用について、公費支出が行われます。

<連絡先> お住まいの警察本部・警察署

※詳しくは、「公的補償制度を利用したい」へ

②医療費の負担軽減

ア、高額療養費制度、貸付(立替)制度

  • 公的医療保険を利用し、医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、超えた金額について払戻しが受けられます。
  • 医療費の支払いに困る場合、高額療養の貸付(立替)をお願いできます。

<連絡先> 事業主、全国健康保険協会の支部、健康保険組合、市区町村役所など

イ、その他の医療費支給制度

  • 自立支援医療費(精神通院医療費)、乳幼児医療費、母子家庭医療費などに対して一定の助成を受けることができます。

<連絡先> お住まいの市区町村役所、通院している医療機関

※「第三者行為による傷病届」

第三者の行為によって怪我を負った場合に健康保険を使用する場合には、「第三者行為による傷病届」を保険者に提出する必要があります。届出には「負傷原因報告書」や個人情報に関する同意書など様々な書類が必要となります。詳しい手続については弁護士などにご相談ください。

③医療費控除

  • 年間の医療費が一定額を超える場合、その超える部分が所得税の課税対象から控除され、所得税が軽減されます。

<連絡先> お住まいの税務署

④犯罪被害者等給付金(重傷病給付金、障害給付金)

  • 故意の犯罪行為により重傷病・障害を負った被害者の方に対し、一時金が支給されます。

<連絡先> お住まいの警察本部・警察署

※詳しくは、「公的補償制度を利用したい」へ

⑤障害者支援

  • 犯罪被害により障害を負った場合は、身体障害者手帳・障害年金など一定の支援が受けられます。

※障害者手帳の交付を受けている方は、国民健康保険料や税金が減免されることがあります。

<連絡先> お住まいの市区町村役所、社会保険事務所、被害者の方の勤務先庶務担当

⑥生活保護費の受給

  • 世帯主の収入が減少し、最低生活費よりも収入が下回る場合、その不足分が支給されます。

<連絡先> お住まいの市区町村役所、社会福祉事務所

賠償請求

1 示談

  • 加害者と被害者の方の間で示談を締結することができます。
  • 示談を締結することにより、加害者から早期に金銭による賠償を受けることができますが、加害者への処分が軽くなってしまう可能性があります。
  • 示談金の相場は、怪我の程度や後遺障害の有無によって変わってきますが、後遺障害の残るような重傷の場合には、3000万円を超える高額になる場合もあります。軽傷の場合には20万円~というのが相場感です。
  • 加害者側から示談の打診があった場合には、気持ちの整理がついていない段階で交渉をすることになり精神的にも大きな負担を強いられます。弁護士に依頼して窓口となってもらいましょう。

※詳しくは「話し合いで解決したい(示談・和解で解決したい)」へ

2 民事訴訟 

  • 加害者に対して民事訴訟により損害賠償を請求することもできます。
  • 民事訴訟では、証拠の収集や訴えの提起、裁判の手続など専門的な知識が必要になるので、必ず弁護士に相談してください。

3 犯罪被害傷害保険(被害事故補償特約)

  • 犯罪被害に遭われた場合に備えて、任意保険に加入しておくこともできます。
  • 損害保険などの特約として犯罪被害の補償を付けることもできます。
  • 保険によっても条件等が若干変わりますが、多くの場合では警察に被害を届け出ることが条件となっていますので、まずは警察に被害を届け出ることを考えましょう。

未成年の方が被害者の場合

  • 犯罪被害により障害を負った場合は、特別児童扶養手当、障害児福祉手当が支給される場合があります。

<連絡先> お住まいの市区町村役所

加害者が暴力団の場合

  • 今後の被害防止のためにも、専門家に相談することが重要です。

<連絡先> お住まいの警察本部・警察署、暴力追放運動推進センター


マスコミ対策

※詳しくは、「マスコミ対応をしてほしい」へ

傷害事件の場合、すぐに診断書を取得したり、捜査機関の捜査に協力したりと早めの活動が、犯人検挙や犯人の処罰に大きく影響します。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では被害者の方の様々な活動を支援できますので、早めにご相談ください。

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