大切なご家族を突然亡くされて、ご遺族の方は想像を絶するような苦しみに遭い、何も手に付かない状況だと思います。
そのようなご遺族の方に向けて、主に必要な手続きや公的支援などをご紹介します。
このページの目次
亡くなった方に関する手続き
1 死亡の届出
- 犯罪や事故によって亡くなられた場合やその可能性のある場合は、死因等を明らかにするため、検視や解剖が行われます。
検視や解剖後、死亡診断書(死体検案書)を作成・発行してもらい(有料)、死亡の事実を知った日から7日以内にお住いの市区町村の役所へと届出をし、埋火葬許可証を発行してもらいます。
<連絡先> お住まいの警察署、市区町村役所
2 各種健康保険・年金の異動届
- 亡くなった方が医療保険や年金を受給していた場合、ご遺族の方はご家族が亡くなったことを担当機関に届け出る必要があります。
<連絡先> お住いの市区町村役所、社会保険事務所、被害者の方の勤務先庶務担当
3 遺産相続等
- 被害者の方が亡くなった日の翌日から10か月以内に相続税について申告する必要があります。手続きに不安がある方は、弁護士会や司法書士会へご相談下さい。
<連絡先> お住まいの税務署
捜査・裁判への関与の仕方
1 事件発生の通報・証拠保全
- 犯人の引渡しや、犯人逮捕のために警察に通報する必要があります。
※詳しくは、「犯罪被害に遭った場合の対処方法」へ
- 事件発生後、被害に遭ったことを裏付ける証拠(例えば、着衣・血痕、傷痕の写真、診断書等)の早期確保が、今後の捜査の進展と大きく関わってきます。
※詳しくは、「犯人を見つけて逮捕してほしい」へ
2 取調べ(事情聴取)、実況見分の立会い
ご遺族の方の協力により、犯人の絞り込みが行われたり、犯人逮捕への手がかりが得られたりする場合も多くあります。
※詳しくは、「犯人を見つけて逮捕してほしい」「取調べ(事情聴取)や裁判へ一人で行きたくない」へ
3 証人として法廷に立つ
- 被害者の方と犯人との関係性やトラブルの有無などの犯罪自体の証明に関することから、犯人に対する処罰感情など様々な内容の質問を受けることになります。
- 証人として法廷に立つ場合には、被告人や傍聴席との間に遮蔽を設けたりといった証人の心理的負担を軽減する措置が取られる場合があります。
※被告人や傍聴人に見られたくない方、一人では心細い方は、「犯罪被害を秘密にしたい」「取調べ(事情聴取)や裁判に一人で行きたくない」へ
4 被害者参加制度の利用
※詳しくは、「刑事裁判に参加したい」へ
- 公判期日への出席:傍聴席ではなく法廷内の検察官席の横に座り、当事者として参加することができます
- 検察官に対する意見申述:検察官の訴訟活動に対して意見を述べたり説明を求めたりすることができます
- 証人尋問:一定の要件のもと、証人に尋問をすることができます
- 被告人質問:一定の要件のもと、被告人に対して質問することができます
- 被害者論告:検察官の論告とは別に、裁判官・裁判員に対してどのように判断して欲しいかを述べることができます
5 心情等に関する意見陳述
- 加害者に対する気持ちを述べることができます。最終的な刑の重さに影響することがあります。
※詳しくは、「犯人を厳しく処罰してほしい」へ
6 損害賠償命令制度の申立て
加害者に対して刑事手続で使用された資料を基にした、迅速な損害賠償請求ができる手続です。
※詳しくは、「犯人にお金(損害賠償)を請求したい」へ
【経済的支援】
1 犯罪被害者等給付金
※詳しくは、「公的補償制度を利用したい」へ
- 故意の犯罪行為により亡くなられた被害者のご遺族の方に対し、「遺族給付金」として一時金が支給されます。
※殺人未遂の被害者の方で重傷病を負われた方や障害の残った方には、「重傷病給付金」や「障害給付金」が支給されます。
<連絡先> お住まいの都道府県警察本部・警察署
2 遺族年金
- 被害者の方が加入されていた年金に応じて、ご遺族の方に対し、年金が支給されます。
※殺人未遂の被害者の方で、障害が残った方には障害年金が支給されます。
<連絡先> お住いの市区町村役所、社会保険事務所、共済組合、被害者の方の勤務先庶務担当
3 遺児の就学援助
- 就学中のお子さんが遺族となった場合、奨学金が給与されるほか、就学相談もできます。
<連絡先> 財団法人 犯罪被害救援基金、お住まいの警察署
4 診断書等の公費支出
※詳しくは、「公的補償制度を利用したい」へ
- 事件捜査又は立証のために必要となる死亡診断書・死亡検案書の発行に要する費用について、公費支出が行われます。
<連絡先> お住まいの都道府県警察本部・警察署
5 司法解剖に関する経費の公費負担
- ご遺体の切開痕等を目立たせないようにする修復費用やご遺体の搬送費用への公費支出が行われています。
<連絡先> お住まいの都道府県警察本部・警察署
賠償請求
1 示談
加害者と遺族の方の間で示談を締結することができます。
示談を締結することにより、加害者から早期に金銭による賠償を受けることができますが、加害者への処分が軽くなってしまう可能性があります。
示談金の相場は、被害者の年齢や職業によっても変わってきますが、最低でも3000万円くらいとなるでしょう。但し、生命保険などが支払われている場合には、示談金額が下がる可能性があります。
加害者側から示談の打診があった場合には、気持ちの整理がついていない段階で交渉をすることになり精神的にも大きな負担を強いられます。弁護士に依頼して窓口となってもらいましょう。
※詳しくは「話し合いで解決したい(示談・和解で解決したい)」へ
2 民事訴訟
- 加害者に対して民事訴訟により損害賠償を請求することもできます。
- 民事訴訟では、証拠の収集や訴えの提起、裁判の手続など専門的な知識が必要になるので、必ず弁護士に相談してください。
3 犯罪被害傷害保険(被害事故補償特約)
- 犯罪被害に遭われた場合に備えて、任意保険に加入しておくこともできます。
- 生命保険などの特約として犯罪被害の補償を付けることもできます。
- 保険によっても条件等が若干変わりますが、多くの場合では警察に被害を届け出ることが条件となっていますので、まずは警察に被害を届け出ることを考えましょう。
マスコミ対策
殺人事件という重大事件の場合には、ご遺族の方に対する取材が加熱したり、ありもしない内容の報道がなされたりする可能性もあります。
弁護士を窓口とすることで取材の過熱などを抑えられる場合がありますので、舞い込み対応にお困りの方はご相談ください。
※詳しくは、「マスコミ対応をしてほしい」へ
被害者やそのご遺族の方に対する支援制度や必要な手続は多岐にわたります。
対応機関や期間制限なども様々ですので、一度被害者弁護に詳しい弁護士に相談し、手続や制度についての説明を受けられることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、被害者弁護に詳しい弁護士が親身になって対応いたします。