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性被害にあった場合において、示談をするべきかどうか、注意すべき点などについて、参考事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 参考事例
東京都文京区在住の大学生であるXさんは、帰宅途中、いつも利用している駅を出たところで、突然後ろからお尻を触られる痴漢被害に遭いました。
Xさんは、すぐ近くの交番に行き、警察官から事情を聴かれました。
後日、警察署から連絡があり、男性Aさんを痴漢の容疑で逮捕しましたという連絡がありました。
なお、Aさんは容疑について、認めているようです。
(事例はフィクションです。)
2 (前提として)Aさんの刑事責任、Xさんに起こりうること
Aさんの行為は、公共の場所において、正当な理由がないのに、人を著しく羞恥させるるような方法で、Xさんの衣服の上から触れるものとして、いわゆる迷惑防止条例違反に当たるものと考えられます。
条例は、各都道府県によって定められているものであり、たとえば、東京都の場合、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例の5条1項1号によって禁止されており、これに違反した者については、6月以下の懲役または50万円以下の罰金とするとされています(同条例8条1項1号)。迷惑防止条例違反については、こちらの記事もご参照ください。https://tokyo-keijibengosi.com/chikan_waisetsu/
Aさんは逮捕されていることから、今後、Xさんに対し、Aさんの弁護人から連絡があることが予想されます。
通常、その連絡において、Aさんの弁護人から、Xさんに対し、示談の打診がなされます。
3 示談とは
示談とは、法律的にいえば和解契約に当たります。
まず、Xさんは、Aさんから痴漢されていることから、Aさんに対し、痴漢によって精神的苦痛を被ったとして、慰謝料を請求することができます。
そして、示談金が、通常、その慰謝料に相当します。
慰謝料の場合、一般的な相場をベースにして、示談金が提示されることが多いといえます。示談についてはこちらの記事でも解説していますので、ご参照ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/
4 示談をしなかった場合どうなるか
仮に、Xさんが示談をしなかった場合において、Aさんに対し慰謝料を請求しようとするのであれば、民事訴訟を起こす必要があります。
民事訴訟は自分で起こすことはできますが、法的な知識も必要となるので、弁護士に依頼する必要性が高いといえます。
弁護士に依頼するとなると弁護士費用がかかります。
また、民事訴訟となると解決まで時間がかかることが多いです。
一方で、民事訴訟を起こす理由も存在します。
民事訴訟を起こし、最終的に裁判所が慰謝料の額を定めることになりますが、その際は、お互いの主張を踏まえて、判断されます。
痴漢事件に限らず、事案によっては、提示された金額が相場よりも低く、加害行為が悪質であることを主張していきたいというのであれば、民事訴訟という選択肢も、事案によっては十分あると思われます。
そこで、示談した場合としなかった場合のメリット・デメリットをそれぞれ比較し、どのような希望があるのかも踏まえ、今後、示談に応じるかどうかを決めていく必要があります。
5 示談をすると処罰されないか?
示談をすることによって、加害者が処罰されないかというと、必ずしもそうではありません。
今回、どのようなことをしてしまったのかや、同じような前科があるのかなど、様々な事情によって、見通しは異なってきます。
また、極端な話をすれば、おおよそ刑務所に入ることが見込まれない事案において、加害者を刑務所に送りたいがために示談に応じなかったとしても、刑務所に行かせるというのはおおよそ困難です。
ですから、ここでも、おおよその見通し(被害者側は情報(加害者の前科の有無等)も少ない場合が多いので、確度の高いものは難しい場合もありますが)を踏まえ、示談に応ずるかどうかを決める必要があります。
また、示談の中においては、二度と接触しないことを約束するような条項など、将来的なトラブルを防止するための措置を講ずることもできます。
なお、迷惑防止条例違反ではありませんが、一定の場合には、示談をし、告訴を取り下げることになった場合、加害者が処罰されない犯罪もありますので、この点も注意が必要です。
6 最後に
このように、示談をするべきかどうかについては、結局、様々な事情を考慮して判断する必要があり、一概には言えません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、性被害に遭われた方や犯罪被害者として、加害者側から示談交渉の連絡が来ている方への様々な支援を行っています。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。