損害賠償命令制度について

犯罪被害にあった場合に、加害者への賠償請求について、損害賠償命令制度の利用が考えられます。
今回は、損害賠償命令制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

損害賠償命令制度とは

法廷

損害賠償命令制度は、一定の犯罪について、刑事事件が係属している地方裁判所に対し、損害賠償請求についての審理・裁判を求めることができる制度です。
刑事事件で被害を受けた人でも、その賠償を裁判で求めるには、刑事裁判ではなく民事裁判で訴える必要が原則としてあります。
そうすると、裁判のために時間も費用も掛かってしまい、泣き寝入りせざるを得ない被害者が出てきます。
その負担を軽減するために、刑事裁判でも賠償請求ができるのが損害賠償命令制度です。
「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」に規定されております。
申立手数料が2000円で民事裁判と比べて安く、刑事訴訟記録がそのまま証拠として利用でき、比較的短期間で終わるため、被害者のメリットは大きいです。

対象犯罪

対象となる犯罪は、以下のとおりです
1 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪又はその未遂罪(強盗殺人、殺人、傷害、傷害致死、遺棄等致死傷、不同意わいせつ等致死傷、強盗・不同意性交等致死、強盗致死傷、逮捕等致死傷、危険運転致死傷等)
2 不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等の罪又はその未遂罪
3 逮捕及び監禁の罪又はその未遂罪
4 未成年者略取及び誘拐、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、被略取者引渡し等の罪又はその未遂罪
5 2から5までに掲げる罪のほか、その犯罪行為にこれらの罪の犯罪行為を含む罪又はその未遂罪(強盗・不同意性交等,特別公務員職権濫用等)
被害者参加事件とは異なり、過失犯は除かれております。
対象犯罪となるのであれば、加害者との賠償交渉の過程で、損害賠償命令制度の利用の可能性を考慮に入れながら対応していくことになります。

手続き

申し立てができるのは、被害者本人又は被害者が死亡した場合の相続人です。
相手は、対象犯罪に係る刑事被告事件の被告人に限られ、共犯者や使用者は除かれます。
申立ての時期は、対象となる刑事被告事件の公訴提起時から、弁論終結時までです(刑事事件の流れはこちらを参照ください。https://osaka-keijibengosi.com/keiziziken_flow/)。
被告人に対して有罪の判決があった場合、直ちに損害賠償命令事件の審理が開始されます。
刑事事件を担当した裁判所が、刑事記録を取り調べ、原則として4回以内の期日で簡易迅速に手続が行われます。
審理は、基本的に非公開で行われます。
裁判所を交えた話し合いにより、和解で終わることもあります。
4回以内の期日で終わらない場合や、損害賠償命令の申立てについての裁判に対して異議の申出があった場合等は、通常の民事裁判に移行します。

損害賠償命令制度の利用をご相談ください

この損害賠償命令制度についても、利用するかどうか、どのような内容の請求をするかは,高度な判断が求められます。
起訴前や判決前に加害者から示談・被害弁償の意向を示された場合、被害者の加害者に対する処罰意思の強さや賠償金へのこだわりや賠償金以外について求めることがあるか、等を総合的に判断して対応することになります。
出来るだけ重い刑事処分を受けてほしいので賠償金は一切受け取らないのか、出来るだけ重い刑事処分を受けてほしいが賠償金は受けたいのか、賠償金さえ受けられれば示談に応じてもいいと思っているのか、等の考えは個々の被害者によって考えは異なります。
加害者の支払い能力の問題も考慮しなければなりません。
加害者が異議を出してきたら、民事裁判に移行しますので、その可能性も考慮して対応しなければなりません。
損害賠償命令制度をどのように利用するかは、精通した弁護士とよく相談して検討することになります
ぜひ、損害賠償命令制度も含め、被害者の方は当事務所に相談・依頼してください(https://higaisya-bengo.com/soudan/)。

keyboard_arrow_up

0359890892 問い合わせバナー 無料相談について