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性犯罪の被害に遭ってしまった場合、刑事裁判の法廷で証言しなければならなくなることは、被害者の方にとって大きな負担となります。
実際に、法廷での証言を回避するために被害届を出すことを断念したり、示談に応じざるを得ないということもあります。
しかし、最近は法改正によって、性犯罪被害者が法廷で証言をする負担が緩和される傾向にあり、証言のうち主尋問にあたる部分を、事前に録画した動画で対応することができるようになりました。
対象者
令和5年に行われた刑事訴訟法の改正によって、性犯罪被害者が証言する負担が一定の条件のもとで緩和されることになりました(刑事訴訟法321条の3)。対象となるのは、以下に記す性犯罪被害者等になります。性犯罪被害に限定されるわけではありません。
・不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ及び監護者性交等、不同意わいせつ等致死傷、十六歳未満の者に対する面会要求等、わいせつ・結婚目的等略取及び誘拐、わいせつ・結婚目的人身売買、被略取者引渡し等、強盗・不同意性交等及び同致死の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
・児童福祉法、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律、性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律の罪の被害者
・犯罪の性質、供述者の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、更に公判準備又は公判期日において供述するときは精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
証拠提出方法
対象者の供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録した記録媒体を提出して行うことになります。
その供述がされた聴取の開始から終了に至るまでの間における供述及びその状況を記録したものに限られます。
供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、供述者の不安又は緊張を緩和することその他の供述者が十分な供述をするために必要な措置、供述者の年齢、心身の状態その他の特性に応じ、誘導をできる限り避けることその他の供述の内容に不当な影響を与えないようにするために必要な措置、が特に採られた情況の下にされたものであると認める場合であって、聴取に至るまでの情況その他の事情を考慮し相当と認めるときに、証拠とすることができます。性犯罪被害であれば無条件に認められるわけではないことには注意が必要です。
反対尋問
この場合において、裁判所は、その記録媒体を取り調べた後、訴訟関係人に対し、その供述者を証人として尋問する機会を与えなければなりません。
つまり、反対尋問の機会が設けられる、加害者側の弁護人から反対尋問を受けることになります。反対尋問も含めた公判(刑事裁判)の流れについては、こちらもご参照ください。https://tokyo-keijibengosi.com/kouhan_flow/
しかし、法廷では被害者の名前等の個人情報は読み上げられません。
他にも、被害者を衝立で囲って加害者や傍聴人等から見られないようにされます。
もしくは、裁判所の別の部屋からリモートで参加して、やはり加害者や傍聴人等から見られないようにされます。法廷における犯罪被害者保護の具体的な内容については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/hanzaihigai_himitu/
今後の刑事手続についてご不安ならぜひご相談を
性犯罪被害に遭ってしまった場合、今後の刑事手続に対して大きな不安を感じるはずです。
加害者はきちんと逮捕・勾留されるのか、起訴されるのか、有罪になるのか、といったことについて心配になると思います。
加害者から賠償はなされるのか、お金を受け取ったら刑事罰が小さくなるのか、といったことについても考えることが多いです。
同時に、被害者自身が、捜査で取調べを受けるのか、裁判となったら法廷に立たなければならないのか、個人情報やプライバシーが漏れてしまうのではないか、などについても大きな不安を感じることが多いです。
もしくはより積極的に、刑事裁判に被害者参加を希望し、被害者の想いを法廷で主張していきたいという人もいると思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、犯罪被害者支援に精通している弁護士が多数所属しております。
性犯罪被害者の方々のご不安に対して、一つ一つ丁寧にご説明いたします。
まずは気軽にご相談してください。
被害者の方だけでなく、ご家族の方も一緒に相談にお越しいただけましたら、ご一緒に説明いたします。