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ストーカーの被害にあった場合において、被害者としてはどのような対応を必要とするのかなどについて、参考事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 参考事例
福岡県北九州市の飲食店で働いているXさんは、同僚であるAさんに交際を求められましたが、それを断り、その日からAさんと会話を避けるようになりました。
そうしたところ、Aさんが、Xさんへの思いを諦めることができず、Xさんの住所を、同僚から聞き出し、Xさんの自宅周辺をうろつくようになりました。
Xさんは、Aさんが自宅周辺をうろついているのを見かけ、不安に思い、弁護士に相談することにしました。
(事例はフィクションです。)
2 Aさんの刑事責任について
AさんがXさんの自宅周辺をうろつくことは、Xさんに対する恋愛感情を充足する目的で、Xさんに対し、その住居等の付近をみだりにうろついたものといえ、ストーカー規制法(正式名称:ストーカー行為等の規制等に関する法律)2条1項柱書の「つきまとい等」に該当します。
そして、この「つきまとい等」が反復して行われた場合、「ストーカー行為」(同法2条4項)に該当することになります。
ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処するとされています(同法18条)。ストーカー規制法の解説については、こちらの記事もご参照ください。https://fukuoka-keijibengosi.com/stalker/
3 Xさんのとるべき行動とは
Xさんとしては、まず警察に相談することが考えられます。
ストーカー規制法では、警察本部長等が、つきまとい等を行い、更に反復して行うおそれがある者に対し、更に反復して同様の行為を行わないよう警告することができます(同法4条1項)。
また、公安委員会が、場合によっては、公安委員会が禁止命令を出すということも考えられます(同法5条1項)。
この禁止命令に違反し、ストーカー行為をした者は、2年以下の懲役または200万円以下の罰金に処するとされています(同法19条1項)。
Xさんにとっては、身の安全や生活の平穏が最優先事項です。
そこで、警察や公安委員会による手続によって、今後、ストーカー行為がされないようにしていく必要があります。
もっとも、単に、口頭の被害申告をするだけで警察が動いてくれる可能性は低いと思われます。
特に、自宅周辺をうろつかれるなど、ストーカー行為の内容によっては、証拠が残りにくいものがあります(たとえば、執拗に電話を掛けてくる場合には、通話記録が残るため、比較的証拠が残りやすいといえます。)。
そこで、どのような証拠を収集、保全しておく必要があるのか、弁護士のアドバイスが必要になってきます。
特に、ストーカー事案の場合、被害者自身に、身の危険が生ずる可能性もあるので、証拠収集も慎重に対応する必要性が高いといえます。
Xさんとしては、そうして収集した証拠とともに、警察に被害申告をすることが考えられます。
4 被害申告後のこと
ストーカー事案における被害者は、警察に被害申告をして終わりというわけにはいきません。
警察から事情聴取を受けることもありますし、加害者側から示談をして欲しいと連絡があることも考えられます。
しかし、ストーカー事案における被害者にとっては、加害者側とやり取りをするだけで、大変大きな精神的負担になりますし、さらなるトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
示談においても、単に示談金を受け取ることによって安心した生活を送れるとは限らず、示談の中で、接触禁止や口外禁止などを約束してもらうということも重要になってきます。
少しでも安心した生活を送れるために、どのような内容の示談をした方がいいのか、弁護士からアドバイスをもらう必要がありますし、加害者側とのやり取りを弁護士に任せることも重要といえます。示談対応については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/jidan_wakai_kaiketu/
5 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、ストーカー被害に遭われた方への様々な支援を行っています。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。