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被害者参加制度について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 被害者参加制度の概要
日本では、ひと昔前、被害者は、刑事事件の手続上、証拠の一つにすぎないとされてきました。
しかし、平成19年6月の刑事訴訟法改正によって、被害者参加制度が創設され、一定の犯罪については、被害者が独自の立場として、刑事訴訟(つまり、既に起訴されている事件)に関与することができるようになりました。刑事裁判の流れについては、こちらの記事もご参照ください。https://sendai-keijibengosi.com/kouhannogaiyou/
2 被害者参加の対象事件
被害者参加ができる事件については、刑事訴訟法316条の33第1項各号に列挙されており、次のとおりです。
① 故意の犯罪行為により人を死傷させた罪(殺人、傷害など)
② 刑法176条から179条の罪(不同意わいせつ、不同意性交など)
③ 逮捕・監禁(刑法220条)の罪
④ 略取・誘拐・人身売買(刑法224条~227条)の罪
⑤ 業務上過失致死傷・重過失致死傷(刑法211条)の罪
⑥ 上記②~⑤の犯罪行為を含む罪(強盗・不同意性交等、特別公務員職権乱用など)
⑦ 過失運転致死傷等(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律4条、5条、6条3項、6条4項)の罪
⑧ 上記①~⑥の罪の未遂罪
大まかにいえば、人の生命・身体・自由に重大な侵害を加える犯罪が対象となります。
3 被害者参加でできること
刑事訴訟に被害者参加することによってできることとしては、
① 公判期日への出席(刑事訴訟法316条の34)
② 検察官に対する意見申述(刑事訴訟法316条の35)
③ 証人尋問(刑事訴訟法316条の36)
④ 被告人質問(刑事訴訟法316条の37)
⑤ 事実又は法律の適用についての意見陳述(被害者論告)(刑事訴訟法316条の38)
があります。
もっとも、たとえば、証人尋問に関しては、質問できる事柄や質問の時期に制約あるなど、実際の事案で具体的にどのようなことができるのかは簡単に分かるものとはなっていません。被害者参加制度については別記事でも紹介していますので、ご参照ください。https://higaisya-bengo.com/keijisaiban_sanka/
4 被害者参加をするにあたって
先ほどお話ししたように、被害者参加をするといっても、実際にどのようなことができるかは事案によって様々です。
犯罪被害に遭われた方が抱いている思いも様々で、被害者参加をすることによって、そうした思いを少しでも叶えることができるか、弁護士に一度相談してみる必要があります。
また、被害者参加をするにあたっては、当然、事件内容を把握する必要がありますが、そのために、検察庁にて事件記録を閲覧することになります。
もっとも、たとえば、その事案において証拠とされているものが、どのような意味をもっているのか一見して分かるとは限りません。
そうすると、事件内容を把握するためにも、法律的なサポートというのは欠かせません。
被害者参加をし、刑事訴訟に関与していくという場合には、検察官との打ち合わせや裁判所との情報共有が必要になってくることも予想されます。
さらに、犯罪被害に遭われた方にとっては、法廷で被告人に質問をしたり、意見を述べること自体、大きな負担となります。
こうしたことも、弁護士が代わりに行うことによって、犯罪被害に遭われた方の精神的負担を軽減しつつ、刑事訴訟に関与していくということも、弁護士の大事な使命だと考えられます。
その他、被害者参加以外にも、刑事手続においては、たとえば、捜査機関からの事情聴取や加害者側から示談交渉のための連絡が来るなど、様々な場面で対応が求められます。
5 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、犯罪被害に遭われた方への様々な支援を行っています。刑事訴訟へ関与していきたいと考えている方は、初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。