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ひき逃げの被害者になった場合について、参考事例に基づいて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1 参考事例
東京都に住む女性Xさん(45歳)は、仕事から帰宅する途中、後ろから来た自動車にはねられ、怪我を負いました。
Xさんをはねた自動車の運転手Aさんは、一度停止しましたが、自動車から降りることなく、そのまま現場から逃走しました。
(参考にした報道:令和5年12月14日 FNNプライムオンライン https://www.fnn.jp/articles/-/629929)
2 加害者Aさんの刑事責任について
加害者であるAさんは、交通事故を起こしているため、負傷者であるXさんを救護する(たとえば救急車を呼ぶ)など必要と考えられる措置を講ずる義務があります(救護義務と呼ばれます。道路交通法72条1項前段)。
それにもかかわらず、Aさんは、Xさんを救護することなく、その場から逃走しているため、道路交通法117条1項に違反し、5年以下の懲役または50万円以下の罰金の範囲で、その刑事責任を問われることになります。
また、交通事故を起こした場合において、その場に警察官がいないときは、直ちに最寄りの警察署に事故を起こした旨などを報告する義務があります(報告義務。道路交通法72条1項後段)。
Aさんは、そうした報告も行っていないことから、報告義務違反として、道路交通法119条1項10号に違反する罪も成立します。
その法定刑は、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金です。
さらに、Aさんに、事故を起こしたことについて不注意があった場合、過失によって、Xさんに怪我を負わせていることから、過失運転致傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)が成立します。
その法定刑は、7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金です。
3 被害者Xさんとしてすべきこと・代理人活動について
Xさんは、怪我をしていますので、当然ですが、病院にて検査や治療を受ける必要があります。
参考事例では、怪我の程度が明らかになっていませんが、その程度によっては、治療費が高額になるケースもあります。
最終的には、加害者であるAさんに請求をしていくということになりますが、Aさんが逃亡しているため、いつ頃、AさんやAさんの保険会社と賠償の話ができるか分かりません。
そのような場合には、Xさんが加入している保険がある場合、その保険で一旦まかなうことができないか、弁護士によるアドバイスを受けながら、保険会社と話をしていく必要があります。保険会社との対応については、こちらの記事もご参照ください。https://higaisya-bengo.com/jikenbetu_jiko_higai/
また、Xさんは、刑事事件における被害者ですので、警察や検察での事情聴取に対応することになります。
その際にも、具体的な事案に応じて、弁護士のアドバイスを受けながら、必要な話しをしていく必要があります。
捜査機関の言われるままに供述調書が作成された場合、Aさんの刑事責任に関する場面でも、賠償を請求する場面においても、影響が及ぶ可能性もあります。
それから、仮に、Aさんが検挙された場合、Aさん側から、謝罪や示談についての連絡があることが予想されます。
まず、弁護士がAさん側との連絡の窓口となることができます。
その上で、謝罪や示談を受けるか判断する際には、その意味合いや金額について、その内容を十分に検討した上で、対応していく必要があります。
示談交渉の場面では、金額の交渉もする必要があります。
Aさんとの間で示談をしなかった場合、最終的には、民事訴訟を起こし、賠償を求めていく必要があります。
このように、一連の流れの中で、被害者であるXさんも様々な対応を求められ、そこには弁護士のサポートが必要になってくることが考えられます。
4 最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、交通事故やひき逃げの被害に遭われた方への支援を行っています。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。