犯罪被害に遭った場合、加害者が成人だと、被害者参加の対象事件が広く認められています。テレビなどでも、被害者参加人が量刑に関する意見を述べたり、裁判に参加しているような様子が報道されることも増えてきました。
それでは、加害者が少年の場合、被害者はどのような形で審判に参加出来るのでしょうか?
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1 参考事件
名古屋市内に住むAさんは、会社の帰りに路上を歩いていると、見知らぬ者たちの集団に拉致され、路上で金品を奪われました。なんとか現場から逃げ出し、警察に駆け込んで、警察の懸命な捜査によって犯人たちは逮捕されました。犯人を逮捕した警察から、犯人は全員16歳未満の少年であったこと、少年の場合は家庭裁判所での審判になるので裁判などに参加することはできない、というようなことを言われました。
Aさんとしては、何とか審判に参加出来ないか、事件についての事情を知ることができないか、加害者が誰であるのか知ることができないのかと思い、弁護士に相談することにしました。
(この参考事件はフィクションです。)
2 少年審判で被害者が出来ること
上記事例については、年齢が全員16歳未満なので、基本的には刑事裁判が開かれることはなく、家庭裁判所での少年審判によって加害少年たちの処遇が決められます。
審判については、家庭裁判所において一切非公開で行われ、基本的に傍聴等は認められていませんが、以下のように少年審判では被害者配慮制度があり、重大事件などでは広く使われています。
⑴ 記録の閲覧・コピー
事件に関する記録を、閲覧してコピーをすることができます。弁護士が被害者の代理として閲覧する場合、ある程度幅広く閲覧許可が認められております。ただし、身上経歴を書いた供述調書や、社会記録といって少年の社会生活状況や鑑別所での鑑別結果を記録した書面に関しては、基本的に閲覧が認められません。
⑵ 意見聴取制度
審判廷で(加害少年がいる前で)裁判官に、審判廷外で裁判官に、審判廷外で調査官に、事件に関することや、処分に関する要望を聞いていただけます。意見を言ったからといって大きく処分が変わることはないです。
調査官の方に意見を聞いて頂くのが予定としては一番調整しやすいです。調査官による意見聴取に関しては、丁寧に時間をかけて意見を聞いて頂けることが多いです。
⑶ 少年審判の傍聴
故意の犯罪によって被害者を殺傷するような事件の場合に認められます。ただし、傷害した場合にあっては、生命に重大な危険を生じさせた場合に限ります。
上記の場合だと、強盗に近い態様で暴行を加えているので、傷害の結果があれば傍聴が認められる可能性はあります。
⑷ 審判状況の説明
家庭裁判所から、審判の様子がどうであったか説明を受けることができます。審判の様子を記した書面の交付を受けることが多いです。
記載としては、認否から、事件に関する供述、質問に対する答えなど、具体的です。書面には、正当な理由なく第三者に漏えいしないように注意書きが書いてあります。
⑸ 結果の通知
審判の処分結果や、少年の氏名住所等を家庭裁判所から教えてもらうことができます。規定条文では、氏名住所などを教えて良いかどうかについて制限がありますが、基本的に民事裁判等の目的があれば教えてもらえることが多いです。
⑹ 処遇に関する通知
保護観察であれば、どこの保護観察所が管轄なのか、少年院送致であれば、退院予定日がいつであるのか、処遇を受けている様子はどうであるのか、などの通知を受けることができます。
3 少年審判の被害者配慮制度の活用
上記のように、傍聴が認められないような場合でも、詳細に事件の記録を見たり、審判の様子に関して説明や通知を受けることができます。損害賠償請求を後に行うことを考えても、被害者配慮制度は活用できる制度です。
被害者やその遺族等が自分で被害者配慮制度の利用を申し出ることもできます。
しかし、被害者配慮制度の利用にあたっては、煩雑な申し込み手続きをしなければなりません。また、家庭裁判所のコピー機で一枚一枚記録をコピーするのも非常に時間がかかります。
何より、早い段階から弁護士が関与し、少年事件の記録を検討し始めた方が民事訴訟が上手くいく確率が上がりますし、そもそもいつどのタイミングでどういう手続きが取れるのか、一般の方にはほとんど分からないことが多いです。
制度上、被害者の方本人でも欲しい情報が得られる可能性は高いですが、事件対応をトータルで考えるとやはり弁護士が早くから関与した方がよい結果に繋がりやすいと言えます。
4 まとめ
少年事件の被害者配慮制度については、一度弁護士にご相談ください。
弁護士でなくても制度の利用そのものはできますが、まだまだ利用のための手続が煩雑ですし、事件解決をトータルに考えれば弁護士が入っていた方が安心できるはずです。
相談に関しては無料ですので、是非一度お気軽にご相談ください。