【報道解説】営業秘密が不正取得されたため損害賠償請求

営業秘密の不正取得に関する報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

不正競争防止法

1 報道の内容

「かっぱ寿司」の運営会社「カッパ・クリエイト」の前社長が営業秘密を不正に取得したとして、回転ずしチェーンなどを展開する「ゼンショーホールディングス(HD)」の子会社はま寿司は27日、カッパ社や前社長らに5億円の損害賠償などを求めて東京地裁に提訴した。ゼンショーHDが発表した。
カッパ社の田辺公己前社長(47)はゼンショーHD幹部だった2020年、商品原価データなどの営業秘密を不正に取得したとして不正競争防止法違反(営業秘密領得など)の罪に問われ、懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円の判決が確定している。
ゼンショーHDによると、事件の捜査や刑事裁判の過程で、持ち出されたデータがカッパ社内で使用されていたほか、同じコロワイドグループのコロワイドMDにも開示されていたことが分かった。はま寿司各店舗の損益計算書や売上高なども不正取得され、カッパ社に開示されていたことを確認したとしている。
ゼンショーHDは損害額を63億円以上と算出した。
(令和5年12月27日 共同通信/Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/93f8f98623dc3bcaad258572c8326ab36ec69698

2 営業秘密の不正取得

報道において、カッパ・クリエイト社の元社長は、不正競争防止法違反(営業秘密領得など)の罪に問われ、懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円の判決が確定しているとされています。
不正競争防止法は、不正競争を防止するなどによって、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とした法律です。
「営業秘密」とは、「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」をいい、商品原価データなどは「営業秘密」に当たります。
そして、報道で指摘されている営業秘密領得とは、不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、人を欺いたり、暴行や脅迫をしたり、財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為などにより、営業秘密を取得することをいいます(不正競争防止法21条1項1号)。
カッパ・クリエイト社の元社長が具体的にどのような方法によったかは、報道では指摘されていませんが、上記のような営業秘密領得に該当する場合、10年以下の懲役もしくは2000万円以下の罰金(または罰金を併科)とされています。

3 損害賠償請求・代理人活動

報道において、カッパ・クリエイト社の元社長は、既に、その刑事責任に関する処分がなされており、その上で、「はま寿司」は、カッパ・クリエイト社や元社長らに対し、5億円の損害賠償請求をしています。
これは、はま寿司がカッパ・クリエイト社等に対し、民事責任を追及するものです。
そもそも民事責任を追及しようと民事訴訟を起こす場合、請求する側が証拠に基づいて主張する必要があります。
どのような証拠に基づき、どのような主張をする必要があるかについては、法律的な観点が必要になります。
特に、不正競争防止法に関する損害賠償請求の場合、請求の相手方が、故意・過失によって不正競争を行い、他人の営業上の利益を侵害したことを主張していく必要があります同法4条)。
さらに、不正競争防止法には、損害額を推定する規定(同法5条1項)など特別な規定もあり、弁護士のサポートというのは必要不可欠ともいえます。
このように、営業秘密領得の被害を受けた会社は、その加害者側に刑事処分が下された後でも、生じた損害の回復を目指すなど、状況に応じた対応が求められます。

4 最後に

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、不正競争防止法違反の被害に遭われた方への支援を行っています。初回の相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。https://higaisya-bengo.com/soudan/

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